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データセンタの地方建設に国が支援をする方針だ。
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NHKのWEBページによれば、データセンタを地方に分散させるための自治体が候補地を調査する費用を補助する方針にしたそうだ。
その背景は、データセンタの二極集注がある。日本の場合は大都会は東京周辺と大阪になる。他の都市ももちろん大きいが、データセンタを必要とする企業が少ないので、日本のデータセンタのほとんどはこの2大都市の周辺に集中している。東京周辺に60%、関西は24%だそうだ。
東京には本社が集中している。それゆえ、データセンタに置きたいシステムの需要は多くある。
たとえば、東京なら大手町や兜町の金融街の周辺や、地盤が固い三鷹や多摩市周辺。あるいは都外の地域にあるようだ。データセンタは立地が重要で、システムとつなぐ相手の距離がレイテンシに現れる。
最近は光ファイバで通信することが多いと思うが、光は1秒で地球を7周半する速度であるが、途中に挟む中継器や増幅器、変換器の数だけ変換処理の遅延が発生する。
光ファイバ1本で隣のラックにつないでいるならともかく、10㎞、20kmと遠くなるとその到達までの時間が気になってくる。
たとえば株の世界では何かのニュースがでたら瞬間に反応しないと大きな損失になる場合がある。ネットでどこからでもつなげるからと言って地球の反対から株取引に参加すると大負けになる可能性が高い。
このため、特にHFTと呼ばれる株取引業者は兜町近くに会社あるいはデータセンタを契約して、レイテンシを短くして儲けようとしている。
また災害発生時に最悪の場合は徒歩で様子を見に行ける場所であってほしいと願う。電車がすべて止まった場合にどうしてもデータセンタの機器の様子を見に行く場合に都心から栃木や群馬の奥のほうまでというのは現実的ではない。電車が止まっていれば車も動かせない場合があるだろう。徒歩で行ける圏内が望まれる。
大阪は明確な理由がある。東京のバックアップサイトだ。いわゆる災害対策、Disaster Recoveryだ。
これは何かというと、東京直下地震があって壊滅した場合に、そのデータのバックアップを大阪に置き、システムを立ち上げて処理を引き継ぐという事だ。
バックアップがあってもそれを動かすシステムがデータセンタ含めて潰れていれば数週間かかって復旧になる。
企業や金融機関はそんなに待ってられない。このため、バックアップを定期的に大阪のシステムに送り、万が一の際は大阪のシステムでサービスを継続する。これなら数分、数時間で継続できる。
大阪にももちろん本社がありデータセンタの需要があるが、かなりの需要はこのバックアップ用途だろう。
上記のように、東京周辺のデータセンタは分散させると利用する企業は困るはずだ。
もちろん、東京周辺の企業が周囲にないので東京のデータセンタを使っている場合はいい。レイテンシが改善するだろう。そうでなければメリットがわからない。
とすると、大阪のデータセンタを分散させることになる。24%のうち仮に16%がバックアップ用途としたら、分散できるのは16%程度だ。
その16%のためにどれだけの予算を割くのか不明だが、もうすこし効果のありそうなことに税金を使えないものだろうか。マスクの件やコロナ対策アプリの件といい、世間との認識のギャップの大きさに役所の仕事にはたびたび驚かされる。
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