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今年のIT業界の大きな問題といえば、みずほの度重なるシステム障害だろう。
他のメガバンクは全く聞かないのに、なぜみずほだけ?そういう疑問がわく。
IT業界に関するニュースのまとめはこちら。
日経の会員向けの記事に4つの真因と題して書かれている。詳細は同記事を読んでいただくとして、これを読んで1つの真因が引っ掛かった。
4つの真因は金融庁が指摘したものだそうだが、そのうちの一つ、顧客影響への感度の欠如という物が気になった。
2月の障害では通帳の取り込みが頻発し、ATMから動けなくなった顧客が多発した。何時間待っても銀行の人が来ない、という話もあった。
2月の障害の問題は割と大きなシステム改修を月末に実施して、月末処理が影響を受けて処理が時間内に終わらなかった、と記憶している。
その時のニュースでは他行の銀行員が「ふつうはそういう月末にシステム改修はしない」と証言していた。
とてもまっとうな発言だ。
システムを高機能に使いやすくしてほしくて改良をIT企業に依頼することがユーザ企業の立場ではあるのだが、その前提は今のシステムに影響を与えない、という物がある。
IT企業は時としてこの前提を忘れ、大障害になりシステムを止めてしまい、ユーザ企業に機会損失を与えてしまう事がある。
たとえばブラックフライデーセールの最中に決済処理のシステム改修をするとしたらECサイトを運営するユーザ企業は許すだろうか?
普通の企業ならセール後にしてくれという。その改修が緊急性の高いセキュリティ問題であれば話は別だが。
しかしみずほは月末処理が立て込むというユーザ企業としての立場を忘れ(あるいは声があったがその声はないものにされたか)、システム改修を実施するというITベンダの立場を貫いたようだ。
力のある、言い換えればIT専任部隊を持つユーザ企業ではこういうユーザサイドとITベンダサイドの対立が社内で発生し、多くの場合は社内の力関係で決まってしまう。システム更新を急ぐ上層部の意を受けたITベンダサイドが強いのだろう。
これが前述のようにユーザ企業とIT企業であればみずほの障害はなかったのかもしれない。
繰り返しになるがユーザ企業にとっては、運営中のシステムを止めることが一番ダメージがあるので避けたいという意思が働く。
その一方で社内外から寄せられる改善点は数多く、いつかはシステムの改修に迫られる。
維持したい力と変えたい力の均衡が崩れたときに、システム改修が実行される。
小さいところではWEBのデザイン、大きいところではオンプレミスからクラウドへの移行と実施される改修のレベルは様々だ。
その改修を安全に実施するには綿密なスケジュールとリスク管理、それからユーザサイドとITサイドの協力がなくては不可能だ。
今年のみずほの障害はこの2点がどちらも希薄だったといえそうだ。
この先数年内にみずほ銀行は消えてしまうのではないか。消えないまでもメガバンクから脱落するのではないか。
今年の障害はそういう予感がよぎる。現実にならなければいいが。
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