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現代の大規模システムはオンプレミスではなくクラウドで構成されているケースが多い。それはオンプレミスからクラウドへの移行で、インフラ運用から解放されるという触れ込みでクラウド事業者が推進してきた結果だ。
しかし過度なクラウドへの移行を自分はいいと思っていない。今回の事件もクラウド事業者を信用しすぎていたら大変なことになったといえる事件だ。
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GIZMODOによれば、オーストラリアの年金基金が使うGoogle Cloudのデータが消えてしまったそうだ。


Google Cloud オーストラリアのユーザデータロスト 2505 出典:GIZMODO
事件はGoogleが誤って年金基金のアカウントを削除してしまったことに起因する。
通常、ユーザは規模が大きいほどバックアップは慎重になる。データだけでなく、可用性を考慮してシステムも冗長に構成する場合がある。
オーストラリアの年金基金も通常の例のように、システム内にバックアップを取っていたそうだ。
ところがだ。バックアップされたデータもバックアップ系も同じGoogle アカウントで作られているので、アカウントが消えるとすべてアクセス不能になる。
自分がかかわった運用サービスの話では、アカウント削除や仮想マシンの削除は後からキャンセルが来ることがあるので、いったん無効化ししばらくしてから削除、というやり方だった。
この方が無用な問題を生み出さないのでいい方法と思う。
しかしGoogleはそういう方法ではなかったようだ。
データは消えてしまい、せっかくのバックアップも意味がなくなってしまった。これで1周何程度のシステムダウンになったようだ。
幸い、このユーザは別の場所にもバックアップデータを置いていたそうだ。これを使って1週間程度でシステムを復旧させたようだ。
このように1つのクラウド事業者に依存してしまうことは、オンプレミスのシステムんい依存していることと同様な危険があるように思える。
最近では複数のクラウド事業者を接続するシステム構成方法もあるのだが、月額料金の高騰は避けられない。
オーストラリアの年金基金がもしもほかにバックアップデータをとっていなかったら。担当者数名の首が飛ぶだけでは済まないことになっただろう。
日本でも同様の構成はあると思う。他山の石としてシステム構成を再検討してほしい。
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