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NANDフラッシュメモリ大手であり国内に残る数少ない半導体メーカのキオクシアが、同業のWDと合併交渉を進めてきた。
しかし株主の意向により白紙になったようだ。WDはNAND部門を分離してHDDとNANDを別会社で運営していく。
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8月末に合併交渉完了に向けて両社は進めてきた。一定の合意を得て、株主に説明したのだろうか。ここで横やりが入り、合併は白紙になった。
キオクシアの株主はキオクシアホールディングスだ。
IR情報によれば、キオクシアホールディングスの株主は以下のようになっている。
株式会社東芝(40.64%)
BCPE Pangea Cayman, L.P.(25.92%)
BCPE Pangea Cayman2, Ltd.(14.96%)
BCPE Pangea Cayman 1A, L.P.(9.37%)
BCPE Pangea Cayman 1B, L.P.(5.99%)
HOYA株式会社(3.13%
真ん中4つの英語名のものはケイマン諸島のファンドなのだろう。もともと東芝の業績が傾いてNAND事業を売却する際に、その巨額の費用を1社では負担できないので、ファンドが資金を集めて買収した。
そのファンドはベインキャピタルだ。
ベインキャピタルはたまに名前が出てくる。たいていは企業が傾いて資金援助を必要とする時だ。最近の事例ではすかいらーくがいったんベインキャピタルに買われ、その後に再上場した。
再上場の際にファンドは巨額の利益を得る。企業を再生してそのリターンを上場益で得てるのだ。
話を戻して、キオクシアの株主であるファンドには、様々な企業が出資している。
ファンドの現状はわからないが、2017年当時の話では、SKハイニクス、アップル、キングストンテクノロジー、シャープ、ソフトバンクが出資したらしい。
繰り返すが現状はわからない。
このため、キオクシアの株を持つキオクシアホールディグスの約半分を所有する、ファンドの一定の割合がSKハイニクスの出資であるため、キオクシアはWDとの合併を認めてもらおうと報告したのだろう。
しかし、SKハイニクスは出資企業の中では唯一の同業。自分のライバルがさらに大きくなることに警戒心があるだろう。
むしろSKハイニクスがキオクシアと合併したいかもしれない。
株主が反対する以上は合併交渉は継続できない。ここで終わってしまった。
WDはNAND事業を分離して2社に分かれて運営していくようだ。
WDはかつてSANDISKを買収してNAND事業を得た。それを再度分けるようだ。HDDとのシナジーは薄かったのだろう。
最近のSSDはSATAインタフェースよりはPCI/eに直接接続するNVMeになっている。SATAという共通パーツがなくなったら、もはや別のモノでしかない。
HDDは需要が減ってきたとはいえ、依然として大容量のHDDにはデータセンター向けの需要がある。HDDはまだしばらくは大丈夫だろう。
キオクシアはどうだろうか。
NANDしかないキオクシアにとって、今のNAND不況は深刻だ。深刻なゆえにWDとの合併話が出た、でも合併はできない。
あとはNAND需要が回復するのを待つしかなさそうだ。
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