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購買力平価という言葉がある。今日はこれについて思い付いた調査をした。
マネー、キャッシュレス決済についてのまとめはこちら。
Purchasing Power Parity、略してPPPというそうだが、外国為替レートを決める要因の一つと言われている。
外国為替レートとは、自国の通貨と外国の通貨の交換レートのことだが、日本なら例えば円とドルの交換レートのことだ。
この数年は落ち着いていたが、自民党の総裁選挙のあたりから円安に振れてきている。
円安になる要因はここで話したい購買力平価だけでなく政治の問題、経済の問題、地政学リスクなどいろいろな要因がある。
今回は日本という国の実情を知るために、購買力平価を使って、スマホの価格が他国と比べてどうなのかを調べてみた。
よくある簡単な購買力平価を示す指数として、世界中どこにでもあるマクドナルドで販売しているビッグマックの価格を比較する方法がある。ビッグマック指数というようだ。
今回は平凡すぎるので他のもので比較してみた。
現代のように資本主義が成熟してくると先進国では購買力平価は大差ないと思われる。このため、資本主義の世界で代表的なUSのニューヨーク、EUのパリ、そして東京を比較した。
そして忘れてはいけない。世界でGDP2位の中国がある。中国は社会主義と言いつつ実態は資本主義だ。おそらく比較するとなにか見えてくるだろう。
うーんと考えて以下のものを選んだ。
注意しなければならないのは、ラーメンは材料の入手にもしかしたら手がかかって東京以外は高価になっているかもしれない。ニューヨークではラーメン一杯が2,000円するとも聞く。イタリアンか中華のほうが良かったかもしれないが、各国で同じ店は思いつかなかった。
あと、マリオットホテルも数パターンあるのでもしかしたら同じグレードになっていないかもしれない。
また、消費税など価格が明記されていないものは含めていない。
では比較してみる。為替相場は10月26日のものを使っている。
都市 | マリオットホテル | 一風堂 | iPhone13 | 為替レート |
---|---|---|---|---|
東京 | 32,386円 | 1,166円 | 98,800円 | 1円/円 |
ニューヨーク | $384 | $18 | $799 | 113.78円/$ |
パリ | €493 | €19 | €909 | 132.22円/€ |
北京 | 950元 | 55元 | 5999元 | 17.57円/元 |
これらを為替レートで円換算したらこうなった。
都市 | マリオットホテル | 一風堂 | iPhone13 |
---|---|---|---|
東京 | 32,386円 | 1,166円 | 98,800円 |
ニューヨーク | 43,692円 | 2,048円 | 90,910円 |
パリ | 65,184円 | 2,512円 | 132,087円 |
北京 | 16,691円 | 966円 | 105,402円 |
この表からわかるのは、パリは何でもかんでも物価が高い。東京で暮らすよりも高くつきそうだ。
一方でニューヨークはもっと高いと思っていたが、iPhone13は逆に東京よりも安い。中国からの輸送費は東京よりもかかるはずなのだが、安い。謎だ。
北京は東京よりも物価が安いと思っていたが、iPhone13は高い。そんなものなのかな。
先のビッグマックのように指数となるものを1つ決めたら他の価格はどうなるだろう。
たとえばマリオットホテルの価格を基準とするとiPhone13の価格比較はどうなるか。
都市 | iPhone13 |
---|---|
東京 | 98,800円 |
ニューヨーク | 122,647円 |
パリ | 265,854円 |
北京 | 54,321円 |
パリは東京の倍以上だ。ニューヨークも1.3倍となんとなく感覚に合いそうだ。逆に北京は東京の半額くらいになり、そんなものかなと思える。
一方でiPhoneの価格を基準にすると、ホテルやラーメンの価格はどうなのだろう。
都市 | マリオットホテル | 一風堂 |
---|---|---|
東京 | 32,386円 | 1,166円 |
ニューヨーク | 40,202円 | 1,884円 |
パリ | 87,145円 | 3,358円 |
北京 | 17,806円 | 1,030円 |
パリのホテルもラーメンも、もはや気軽に買えるものではないようだ。
ずいぶん前に行った、パリと同じEU圏内のとある都市で夕食をオーダしたら、当時のユーロ高もあってたいした食事でもなかったのに6,000円くらいしたことがある。EU圏はどこも高いようだが、それでも人々が暴動を起こさず暮らしているってことはそれだけの収入があって、iPhone13を気軽に買えるのだろう。
一方で日本の価格はどうなのだろうか。この30年くらい物価が上がったわけでもなく、デフレと呼ばれた状況が続く。
ここ数年は徐々に物価が上がりつつあるが、給与所得が上がらないので、お菓子やソーセージなどは同じ価格で中身を減らすという
海外だったら考えられないような手で販売が続いている。そうして見かけ上の物価は上がらず経済が停滞しているように見える。
もしかしたらパリの住民は東京の住民の倍の所得があって、困っていないのかもしれない。もしそうなら、iPhone13は日本人にとって高価なスマホである一方で、パリの人には格安な端末なのかもしれない。
コロナウィルスのおかげで海外旅行にずいぶんとご無沙汰になった。ニューヨークで泊まった、照明が壊れているのにとても高いビジネスホテルも驚いたものだ。購買力平価を見ていると、日本経済の地盤沈下が見え隠れしている。今の生活を享受できなくなる日が急にやってくるのかもしれない。海外では毎日が熾烈な争いが続くのに、なぜか日本国内はのんびりが続く。
そんな日本が良くて、昨今は海外からのインバウンドが多かったのかもしれない。
今後、日本はどうやって生きていくのだろうね、とちょっと思った夜だった。
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