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楽天グループが2023年度の2Q決算を発表した。その中でモバイル事業について大きく触れているので紹介する。
楽天モバイルについてのまとめはこちら。
2Q決算を三木谷CEOが説明した資料はここから見ることができる
今回はこの資料を抜粋して書いている。
まず、楽天グループ全体の状況は今年も成長し、26年連続で成長している。多くの企業がリーマンショックやコロナで痛手を負ったのに対し、楽天グループはそうそう社会的な問題は微塵を感じず成長しているようだ。
連結の売上は4,972億円で前年同期比で+9.7%、IFRSでの営業利益は-489億円で、前年同期から-855億円から改善している。
各セグメント別の収支は以下の通り。
営業利益の悪化原因は相変わらず楽天モバイルだ。
では楽天モバイルの状況はどうだろうか。
売り上げ収益は前年同期比で+13.3%、Non-GAAP OI 改善額は+372億円。
主な指標は下図の通りで、最強プランにより4Gの人口カバー率が99.9%になったことが大きい。
また回線契約数は、1GB未満は無料をやめた2022年7月以降にいったん減ったが11月に上昇に転じ、今は2022年7月以前と同等になっている。最強プランにより今後ユーザは増えていくだろう。今年度中に500万回線に行くのではないか。
ユーザの増加に貢献したものはいくつかあると思うが、楽天モバイルの通信速度があるという。
しかしこの調査、いただけない。比較対象が他のMNO3社の平均という。平均ってどういうことだろう。
自信があるのなら3社の中で良かったデータと個別に比較すればいい。
予想でしかないが、5Gのダウンロードが3社平均が遅いのは、最近のドコモのパケ詰まりが影響しているように思える。
アンケートを取った結果が公表されている。今契約しているキャリアを変えるとしたらどこにするか、だ。
1位、30.7%が楽天モバイルにするという。これは妥当かもしれない。他のキャリアを使っている人が選ぶとしたら、あまり変わらない3社内ではなく、1つ毛色の異なる楽天モバイルを選ぶことはありそうだ。ポイント付与が多くなるなどメリットが多い。
でも、楽天モバイルの契約回線はまだ500万回線に及ばない。他は2,000万以上になっている。雪崩を打って移動が起きないのはまだ様子を見ている日tpが多いのだろう。
またワンストップが始まったとはいえ、MNPの手続きは面倒だ。乗り換えるための障壁になっているといえる。
そういう点から、「乗り換えるとしたら楽天モバイルだけど、今は乗り換えるつもりはない」そういう言外のメッセージが見える。
なお、2位のahamoが位置しているのは、おそらくドコモユーザが多いからだろう。一方でauが最下位なのは、昨年の大規模障害が影響していそうだ。
MNPで入ってくる人はまだ少ないとはいえ、ユーザはデータ消費を増やしているようだ。
おそらく2022年7月の1GB未未満も有料化したため、ほぼデータ通信を使わないユーザが減り、大量に使う、例えば数百GB使うようなユーザが残り、平均で計算すれば消費量が上がったのだろう。
2022年7月から11月までの上昇はこの理由と思う。2023年5月以降の上昇は、最強プランにより圏外がなくなることで使いやすくなったのだろう。
今後は使える楽天モバイルの利用を目的にしたヘビィユーザが増えるのだろうと予想する。
しかし損益分岐点はまだまだだ。
楽天モバイルが黒字になるには2条件を満たす必要がある。
ARPUとは、1ユーザ当たり平均の支払いだ。回線数を増やすこと、月額料金を増やすことどちらも難しい。楽天モバイルの自信はいかほどか。
今後が楽しみだ。
CEOが説明した資料だから、自社を誇りたいのだろう。ちょっと言いすぎじゃないかと思えるが。
楽天モバイルが低価格で参入したことで、他のMNOも安いプランを出した。平均月7,000円ほどかかった携帯電話料金が3,000円程度にまで下がった。半減だ。
これによって浮いたお金が家族旅行(楽天モバイル)、投資(楽天証券)、学費に回すことができて、家族が幸せになる、というストーリのようだ。
ちゃんと楽天が用意しているサービスがあってそこに使ってねという誘導に見えなくもない。楽天が携帯電話事業に参入したのはエコシステムを拡大することだった。これも目的だったのかな。
そして楽天モバイルの黒字浮上にはコスト最適化(無駄なお金はなくす)、ネットワークの改善(基地局の増設と圏外をなくす)、法人事業(安定した収入の獲得)が必要だろう。ただ、契約者獲得に有効な方法はあるのだろうか。
楽天モバイルとは関係ない発表だが、重要そうなので書く。今を時めくChat GPTのOpen AIと協業するそうだ。
Open AIは仕組みを持っている、楽天は巨大なエコシステムでデータを持つ。そのデータはIDだけで1億。
カード利用情報から推定する購買履歴、閲覧データからわかる個人の趣向など、巨大な個人情報だ。これを組み合わせてAIの力で売り上げを伸ばそうということのようだ。決してユーザのためではなく加盟店のためというところが楽天らしい。
また、PayPayに対抗して楽天Payを盛り上げようとしているが、PayPayの端末に対抗した端末を開発しているようだ。
クレジットカード、電子マネーにも対応し、なんとPayPayにもau PAYnも対応するという太っ腹。何が何でもシェアを取りたいのだろう。
最後にEC市場における楽天のポジションの説明。前年同期比の成長はほかのECサイトを突き放し、また26年もEC市場をやってきた経験から大きな市場を抱えている。
そういえば以前聞いたことがある。加盟店の話だが、楽天は手数料が高いのでやめたいが集客が魅力でやめられない、と。
このエコシステムが加盟店を縛り付け、巨額を集金するシステムとしてできあがり、その資金をモバイルにつぎ込んで成長させる。
モバイルが黒字になったらまた次の事業を開始してさらに大きくなるのだろう。
楽天市場があるからamazonのPrime年会費を日本では高くできないという。巨大な黒船のamazonと対抗できるのは楽天だけだろう。
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