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かつては液晶のシャープといわれた企業が、会社を大きくしたテレビ用液晶パネル事業から撤退する。
また一つ、日本を支えた産業の1つが消えていく。
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今の時期は3月締め年度の企業が決算を発表している。多くの企業が好調で株価を上げている一方で、無残な結果に至っている企業もある。
シャープもその一つで、2024年度の連結最終損益は1499億円の赤字になった。2023年度も赤字だったのでなかなか業績が好転しないようだ。
というのも頼みのテレビがあまり売れてないようだ。テレビが売れなければ液晶パネルも売れない。
当初見込んだ生産量が見込めないので工場が遊んでいる状態のようだ。
このため、10月までに堺工場のテレビ用液晶パネルの生産を停止し、生産事業から撤退するようだ。
2020年にシャープが子会社にした、大阪府堺市にある液晶パネルを生産する企業だ。かつて亀山モデルといわれたシャープの液晶パネルはその後に堺市に生産拠点を移して生産していた。
ご存じのようにシャープは2010年代後半に業績悪化に苦しみ、いろいろなものを売却して最後は企業自体を台湾の鴻海に売却した。シャープはその時点で純粋な日本の企業ではなくなったのだが、企業の活動が大きく変わることはなく、変わらずテレビやちょっと気の利く家電を作り続けている。
そして旧東芝のPC部門を買い取ってDynabook社として経営を続けている。こちらもそれまでと同じく着実なPCを生産続けている印象だ。
しかしテレビの需要はなかなか帰ってこないようだ。もともとは2010年代初頭の地デジ化に伴う、エコポイント特需でテレビが売れた。これは数年分の買い替え需要の先食いをしただけだったので、当然特需終了後はテレビの買い替え需要は低迷した。そのあたりから家電各社のテレビ事業は立ち行かなくなり、縮小。撤退が相次いだ。
シャープは液晶という会社が大きくなるきっかけになった製品を切り捨てることができず、他社がパネル生産から撤退してもzぅるずると生産を続けた。そして巨額の赤字ができた。
その象徴が堺ディスプレイプロダクト社であり、その生産を止めることでやっと止血をする気になったようだ。
テレビ用の液晶生産をやめたとしても、買ってきてテレビを作ることは続けるだろう。従い、消費者に見えるラインナップは変わらないと思う。
ただしシャープもそうだが、液晶パネルの生産を中国に依存しているので、昨今のように国同士の友好関係が崩れるといつ供給が断たれるかわからない。
それを見越した国内生産だったらしいが、液晶パネルは経済安全保障という次元のものとはいいがたい。大きなテレビがなくて困る人はそんなに多くない。
一方でローレベルの半導体製品はあらゆる製品に使われるのでこれがないと製品製造が止まる。場合によっては軍用品に使われる半導体もあるだろう。その場合は軍事力にも影響が出るので、USあたりは経済安全保障を声高に言うのだろう。
今回の生産停止がシャープという会社の存続に影響があるほどではないと思うが、シャープの歴史の中で大きな位置を占める液晶パネル事業が徐々に消えていくのは、シャープ社員はもちろんユーザにも終わりの到来を予感させて、残念な気分だ。
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