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HDDベンダの1つであるWDが自社イベントにてアクセス速度を4倍にすると発表している。内容を見ていこう。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。
HDDは発明された時からそんなに大きな技術革新はない。ガラス板に磁性体を服付けたものを高速回転させてデータを記録させる仕組みだが、大容量化の要請によりガラス板の枚数が増え、記録密度が飛躍的に上げている。あとはインタフェースが昔のIDEからSATAに変わったくらいか。
SSDと異なりモーターがガラス板を回転させて、正確な位置のデータを読み取る必要があるので、回転速度を大きく上げることもできず、またモーターなどの部品の摩耗も考慮しないといけない。ちょっと前にはHDD内にヘリウムを封入することで空気抵抗を減らして回転速度を上げる、なんてこともされている。
デジタル領域に必須のデバイスであるにもかかわらず中身は相変わらずアナログだ。SSDへの完全な置き換えがされたら見える世界が変わってくるように思えるが、まだまだ先かな。
HDDを作るメーカは今は3社のみだが、そのうちの1社のWDがUSでイベントを開催し、その中でHDDの速度を4倍にすると発表している。すでに英語だがWEBに載っているのでこれを見てどういう仕組みか考えてみた。


HDD 4倍高速化 WD 2602 出典:WD
どういう発表なのか記事を読むとこう書かれている。
まずHDDのスループット、つまりアクセス速度とデータ転送を速度をひっくるめてどのくらいのタイムラグでPCが要求したデータを読み出す、あるいは書き込むか、なのだが、このスループットを向上させる2つの技術を発表している。
従来のHDDはディスクとヘッドを何個も持っているにもかかわらず、制御の難しさから同時に操作できるのは1つだけだった。つまり10個ヘッドがあっても並列で動作するのではなくシーケンシャルに1つずつ制御してきた。
これをWDは同時に複数のヘッド操作を可能にするという。トリプルステージアクチュエータ(TSA)技術と呼ぶそうだが、同時に複数トラックのアクセスを可能にするそうだ。仮に4トラックへのアクセスを同時に行えば、理論上は4倍のスピードでデータの読み書きが可能になる。(実際にはいろんなロスがあると考えられるが)
こうなるとSATAで制御することがボトルネックになってくるかもしれない。Seagateが提唱した、NVMe方式のHDDが現実的になるかもしれない。
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従来のHDDはヘッドがいくつもあったとしてもこれらは連結されて固定化されてきた。仮にヘッドが10個あっても制御を同時に1つしかできないのだからヘッドをばらばらに動くようにする必要はないと考えたのだろう。コストダウンにもなるし。
この方法は確かにコストダウンはするが、ランダムIOアクセス場合や、複数のデータアクセスがあるときにヘッド位置をあちこちに移動させる必要があるときにボトルネックとして見えてくる。
WDはこの問題に対してヘッドが独立して動くようにするという。具体的にはヘッドを制御するアクチュエータを2つにして、独立したヘッドの移動が可能になるそうだ。
似たコンセプトの方法は以前から考えられていたが、ディスク枚数を減らす必要があり、性能は上がるが容量が減るというジレンマに悩まされていた。DPTは容量の犠牲なく性能向上が可能となるそうだ。
WDの記事では上述の2つの技術を組み合わせて、スループットが4倍になったそうだ。従来のHDDは300MB/s程度だが、これを1.2GB/sに向上できたという。
従来方式では容量が増えるとヘッドの固定化などの問題でスループットが落ちており、100TBのHDDが登場したときは現状のHDDよりも遅いものになると懸念されている。しかしこの2つの技術により4倍のスループットになると、現在の26TB程度のHDDと同じスループットになる。
更に技術革新でスループットは最大4.8GB/sまで進めることができるそうで、
家庭用PCのHDDにこの技術を搭載するのは相当先だろう。今は1台で30TBのHDDがあるが、まだ使いきれるほどのデータがない。(最近データ用の8TBHDDがフルになってきているが、その4倍弱の容量だ)
この技術が使われるのはデータセンタ向けのHDDだ。現在はSSDが多く使われるようになってきたが、SSDはまだ容量が少ないことと、昨今のメモリ、SSDの高騰でHDDが注目されている。
メモリ、SSDの高騰は今年いっぱいは解消しない、来年どうなるかという予想が出ている。それまでにHDDのこういう新しい技術が出てくれば、十分商売になりそうだ。
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