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auの通信障害に対する行政指導への報告書が開示 その内容をチェック

 

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auの通信障害に対する行政指導への報告書が開示 その内容をチェック
 

もう4か月。7月2日から始まったauの大障害。全国的に電話もネットも不通になった。
障害に対して総務省から行政指導がでて、それに対する報告書が提出された。今回はその内容をチェックする。
ずっと使っている auについてのまとめはこちら。

このMNO/MVNOの記事もチェック!
  

障害の顛末

前の記事はこちら。合計4日間、使えたり使えなかったりの日々だった。

もう4か月がたち、それ以降いろんなことがあったから記憶が風化しかけているが、行政指導が出ている以上はKDDIは対応しなければならない。
その報告が総務省に提出され、要旨がKDDIのWEBに開示されている。

KDDI 行政指導への報告 2211

KDDI 行政指導への報告 2211 出典:KDDI 以下同じ

このページに報告書要旨のリンクがある。興味がある人は一読を。

報告の概要

要旨は表紙込みで11ページのもので、概要がわかる程度に書かれている。具体的なところは開示するものでもないので、総務省のみに提出しているのであろう。

報告は行政指導の指示に対して1つ1つ書かれている。現状はどこまでやって、今後どこまでやるつもりか、という観点で書かれている。
対策が終わったものは終わったと明記されている。典型的な障害報告に対する後日の報告の書き方だ。(自分も何度かこういう手のものを書いている)

この障害は、人的ミスと機器の設定問題、あるいはバグで輻輳が拡大し、収拾が見えない状態になった。
その点について今後はどう変えるかを中心に確認する。

指導事項(2)

輻輳制御機能が機能しなかった問題についての指摘だ。指導では輻輳検知、設計見直しなどを指示している。
これに対するKDDIの回答は検知ツールの開発、トラフィック経路の変更、同様の問題の有無を確認し、さらに輻輳制御の見直しをしている。

KDDI 行政指導への報告 2211

KDDI 行政指導への報告 2211

輻輳の原因になった、一登録要求信号の多発があってもVoLTE交換機(音声通話の接続制御を行う)が高負荷にならないように流量規制を行えるようにしたそうだ。
輻輳になった場合は、処理しきれないので大部分のインプットを捨てて、徐々に処理して落ち着かせていくアプローチを取ることが多い。これまではそういう流入規制がなかったということだろうか。そうであれば、設計者はかなり楽観的な人だったのだろう。
またVoLTE交換機の構成を全国フルメッシュ型から東西分離に変えたという。具体的な絵などがないので確認できないが、東西の問題が互いに他方に波及しないように塀を作った、というところだろうか。つまり例えば東北で起きた輻輳がフルメッシュであれば九州にも影響するようになるが、東西分離型なら東の親分(おそらく東京)が輻輳するのみで。西日本には影響しない、とできそうだ。
ただこの場合、東西のゲートになる親分の負荷がかなり高くなるので、フルメッシュ型よりも相当性能がいい、あるいはスケールアウトにより強力にしたシステムが必要だ。
それはそれで、新たな爆弾になったような気がする。

指導事項(6)-1

追加検証が必要と検証会議で決まったら検討するようにという趣旨の指導だ。
これに対して品質管理体制の強化、リスク評価の徹底を行うと合わせて、事故の訓練を行っている。

KDDI 行政指導への報告 2211

KDDI 行政指導への報告 2211

大規模な障害を発生させたことの原因に、そういう事故が起きることの備えがなかったことがあると思う。
例えば、車を運転するときに慣れ親しんだ道であれば、わき道から突然出てくる人や車、信号の切り替えの長さなど勝手知っている。そうであればどこに危険があるか自然と評価して備えているはずだ。
一方で見知らぬ土地を初めて走るときは勝手がわからない。そんな道を制限速度ぎりぎりまで出して走れば危険の予見ができず場合によっては大きな事故を起こす。

このように、事故もあらかじめ知っていればどのように動けばよいかわかるので、特に重要なシステムでは訓練を定期的にすべきである。
KDDIもおそらくやっていたのだろうと思うが、形骸化していたのかもしれない。

指導事項(6)-2

先と同じく追加検討があればせよという指示に対しての回答であるが、これが一時話題になっていた、緊急時のローミング検討だ。

KDDI 行政指導への報告 2211

KDDI 行政指導への報告 2211

おそらくこの検討、実現が、今回の問題に対する一番の対策であろう。つながらない回線があれば、つながる回線につなぎ変えて使えばよい。
それができないのはMNO各社の規格の違いもあるが、手の内を見せたくないというエゴもありそうだ。

ただ今回のように4日も止まってしまうのは、事業に支障が出ていたのはもちろんだが生活にも支障がある。
救急車を呼ぶこともできないのでは困るのだ。
そんな問題をなくすため、MNO4社がローミングの検討を開始した。12月末に取りまとめるためまだ検討段階ではあるが、コストなしで実現すればよいがコストがかかるならDSDV機能を持つスマホでSIMを2つ契約して持つことと何ら変わらない。

ユニバーサル料金のように毎月数円であればローミングでもいいが、用途が限られるならeSIM契約をすぐできる事業者でSIMを追加するほうが現実的かもしれない。
例えば、IIJmio。eKYCにより最短でその日のうちに利用できるようになる。

あ、eSIM契約にはインタネット接続が必要だった。スマホ1回線契約のみの単身者には解決にならないかもしれない。

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著者プロフィール
irvine
 ソフトウェア設計、ストレージ設計を経てクラウドにかかわる仕事をしている、東京郊外在住のエンジニア。
 仕事でUS,UK,SGなどの国とかかわる。
 自作PC、スマホ、タブレット、AV機器好き。ドラクエウォークはルーチンワーク。Linuxやストレージ、IT業界の動向は興味を持っている。
 新しい機器、サービスに興味あり。年数回のレビュー(自腹購入、ご依頼)と発表されて興味があるものの新製品机上レビューをやっている。
 2022年はJAPANNEXT様のアンバサダーを務めました。
 
 

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