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ソニーが提供するNuroはモバイルだけでなく光ファイバによる固定回線も提供している。
このほど光ファイバを通しにくい家庭に代替手段を提供すると発表した。
nuroについてのまとめはこちら。
日本のインタネットの歴史は、電話回線を使ったモデムから始まった。アナログモデムで56Kbps程度の速度だった。
その頃の主流は文字中心のパソコン通信といわれたNiftyserveのようなものだったので通信速度は問題なかった。
だが、インタネットは違った。HTMLによるグラフィカルなホームページが見られるようになると、たちまちアナログモデムでは遅い、という事になった。
そして2000年頃にYahoo BBから始まったADSLサービスの急速な低価格化により、数Mbpsという高速回線が安価に手に入るようになった。
速くなったと同時に定額制になって安価になったので、インタネットは一般家庭に浸透した。
我が家でもそれまでも電話代1万円弱がADSL3,000円程度になったっけかなぁ。もう忘れた。
ADSLはNTTの電話回線に対して高周波の信号を重畳させて、通信する。このためNTTの局舎からの距離が長いと速度が遅くなる、あるいは契約できないという問題があった。ADSLは光ファイバ網の完成までの場つなぎというイメージだった。
光ファイバ、つまりFTTHと言われたサービスが完成したのは2005年~2010年頃だろうか。このあたりで全国で希望すればたいてい光ファイバを自宅に引き込むことができるようになった。
初期の頃は今の5Gサービスのようにエリア外なので使えない、と断られるものだったが、NTTのNGN戦略の中で旧来の電話線をIP通信網に置き換えて管理しやすくコストを削減できるようにしていった。
NGNが完成したころが光ファイバ網の完成時期なのだろう。今では電話するという行為は、アナログの通信路を使うのは実は局舎までで、NTTの局舎から相手の最寄りの局舎までは完全にIP化されている。昔ながらの交換手がいた台とか、線だらけの交換機という存在はもうないと思う。
そんな歴史を経て日本全国が光ファイバでつながるようになったのだが、実は今でもつながらない家庭がある。
マンションだ。
マンションの建築時期により、最新のネットワークを敷設できるかどうかが変わってくる。
昭和の時代~ADSL全盛期の頃は各戸には電話回線しか引き込めない。このためその後の光ファイバの延伸の恩恵を受けられず、苦肉の策でマンションまでは光ファイバ、そこでADSLのように電話回線を使って各戸に通信するVDSLが始まった。
VDSLはある程度光ファイバの恩恵を得られるものの、各戸で契約ではなくマンション全体で容量が決まっているのでどこかの部屋で大量のデータ通信を行っていれば他の部屋は影響を受ける。
マンション内である部屋でリモート会議が始まると、途端に別の部屋のネットワークの応答が悪くなる現象だ。
一方で光ファイバが全盛になったころに建築されたマンションでは各戸にLANが配線されている場合がある。
こうなってくると、マンションで契約が1つなのかもしれないがVDSLよりはましだ。
昨今のコロナウィルスの猛威により、リモート会議やリモート授業の増加で帯域が足りないという声が高まっている。
しかしVDSLでもLAN配線でもマンションで帯域の上限が決まっているので難しい。
このままではマンションに住む人は最新のネットワークから取り残されてしまう。
おそらく何年も前からそういう課題があり、対策が練られてきたのだろう。5Gサービスが始まってソリューションがでてきた。
ローカル5G?5Gを使っていないのでいまいちわからなかった。ミリ波、サブ6と5G通信にはいろいろあるがその1つなのか?
実態はそうではなくて、限られたエリアに対する5Gによる通信サービスという事のようだ。
5Gは使用する電波の周波数が高いので、1つの基地局でカバーできるエリアは狭い。このため4Gに比べて多数の基地局が必要だ。
狭いエリアに限定して提供できるから、MNOのサービスではなくローカルなエリアに対する5G通信サービスが考えられたのだろう。そう認識している。
この度ソニーが提供するnuroブランドで、マンション向けにローカル5Gサービスを提供すると発表があった。
マンションの近隣に5Gの基地局を立てて、マンションの各戸は5G通信を行うルータを用意する。これだけで、今まで不可能だったマンション内の配線を行うことなく、5Gレベルの通信速度を各戸でばらばらの契約で利用可能になる。
ルータについては、最近はMNOも同様のホームルータを出している。例えばドコモのこれ。
おそらく仕組みはこれと同じで、異なるのは5Gの基地局がMNOではなくマンション専用のローカル5G基地局という事だろう。
専用の基地局なので、電波が弱くて期待した通りの速度がでない、という可能性は低い。
一方でローカル5Gの電波と携帯電話の5Gの電波が干渉して速度低下しないかという懸念が考えられる。
WiFiの2.5GHzと電子レンジの電波が干渉するのと同じ話だ。自分は知らないので問題ないと知っている人は教えてほしい。
ローカル5Gとホームルータのソリューションでは、工事が不要で開始できること、速度制限がなくデータ容量が無制限であること、さらにお試し期間があって試してから契約できるというメリットがある。
たしかWiMaxでも同様のレンタルサービスがあった。お金を払っても使えないとわかるというのは困る。支払う前に貯めさせてくれるという点はいい。
開始は2022年春を予定している。このため料金や仕様はまだ決まっていないようだ。
地域はいわゆる大都市であろう。北海道、関東(東京、神奈川、埼玉、千葉)、東海(愛知、静岡)、関西(大阪、兵庫、奈良)、九州(福岡)の一部とあるが、そのエリア内でも対応できないといわれる場合があるかもしれない。
基地局設置の可否次第であるし、そもそもローカル5Gの基地局建設の費用はだれが負担するのだろう。そのあたりもよくわからない。
ホームルータはLANの口が1Gbps×3だけでなく、2.5GbEも用意される。まだまだハブが高価なので2.5GbE装置は多くないが、ストレージ、NASは対応機器が増えてきた。ここにはそういう機器をつなぐ想定だろうか。
春までまだ数か月あるが、この先はこういうソリューションが増えていくだろう。
デジタルディバイドという言葉ができてもう何年だろう。ネットワークによる格差がまた1つなくなる予感だ。
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