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ファーウェイを囲い込んで数年。長くにわたってきたため、綻んできたようだ。
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US上院の委員会が文書を公開している。
USはファーウェイに対しての半導体やソフトウェア輸出はUS政府の許可が必要としている。国防の観点なので毅然とした口調だ。
当然だが半導体やソフトを組み込んだ製品もその対象になるのだが、そのルールが半導体、ソフトウェアが主な部品であるものとしていたようで、HDDのようにディスクが主部品であるものはダメという明言はなかった。
その隙をついて、シーゲートは中国ファーウェイに対してHDDを輸出したそうだ。
それが発覚し、上院委員会で問題になっており、今回の文書公開となった。
ファーウェイに関する問題については今更なので詳細は書かない。以前は下記記事で書いている。
当時のトランプ大統領がかなり追及して、5G基地局だけでなくITインフラに入り込んでいたファーウェイをUS市場からたたき出した、という印象だ。その後中国企業はことごとく基幹といえるインフラから締め出されている。
その主な手段は兵糧攻め。ファーウェイには部品を提供しない。ファーウェイからは買わない。
この2点でファーウェイは存亡の危機に立たされた。
身近な例では上の記事にも書いているが、Android OSが提供されなくなったので、ファーウェイ製スマホ、タブレットの最近のものは独自OSになっている。
いくら安くてよいものでも見知らぬOSとなると話は別だ。あまり売れていないと思う。
(実際のところ、ほぼAndroidと同じものらしいが)
OSのようになんとか代替手段があるものはいい。問題は代替手段がないものだ。
たとえばARMがSoCの情報提供をやめているようだが、今までの技術の蓄積で独自のSoCを作り続けているようだ。
SoCは何とかなる。PCのCPUはどうなのだろう。話を全く聞かないが、おそらく互換性のあるCPUが中国内で生産されているのではないだろうか。であればなんとかなる。
しかし何ともならないものがある。HDDだ。
HDDは黎明期は20社以上もひしめいて競争していたようだ。それが数年前のHGSTをWDが買収したことで、現在の3社体制、つまりWDとシーゲートと東芝の3社のみが作る体制になった。
寡占市場といえるが、相次ぐ買収、撤退の果ての結果なので今から新規参入するメーカはないだろう。
となるとこの3社とも資本主義世界の企業なのでファーウェイとの取引は慎重になる。
でもファーウェイは事業をしていくためにはHDDが必要だろう。すべてをSSDで置き換えるにはまだ高価だ。
先ほどの上院委員会の報告書を見て行くと後半に経緯が書かれている。かいつまんで書くと、
上記のようにHDDは明確には輸出禁止対象となっていないのでシーゲートはそう解釈して輸出していたようだ。
しかし上院からの度重なる確認でやめたようだ。
USという国は自国の防衛になるとかなり強硬な態度をとる。
かなり昔の話になってしまったが、東芝ココム違反事件がいい例だろう。東芝の当時子会社がココム違反をして潜水艦のスクリュー音を改善する工作機械を共産圏に輸出した。これが知れて、全米が反東芝になった。
あちこちで東芝の打ちこわしが始まった。テレビのニュース映像で見た方も多いだろう。テーブルの上にラジカセをおいて、ハンマーで壊すイベントのようなものだ。
そのくらいストレートに国民感情が高まって反東芝になった。
今回の事件が大きくなれば、反シーゲートになって、あちこちでシーゲート製HDDの不買運動や打ちこわし、またシーゲート製HDDを使ったPCの不買運動にシーゲート製HDDを使ったクラウドサービスの利用敬遠が始まるかもしれない。
シーゲートにとっては存亡の危機になる。おそらく早めに対策すると思うが、輸出禁止対象と取引するだけで企業存亡の危機になる時代だ。
自分たちの仕事の中で、この商品を買う客は転売するのではないか、その先は輸出禁止対象企業ではないかと常に気を付けないといけない。ミスすると会社内の問題ではなく、法律違反で逮捕されてしまいかねない問題だ。
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