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久々に依頼をいただいたソフトウェアのレビュー。
FonePawSDカード復元を使ってみた。削除したファイルの復元ができるツールだ。どういうことができたかをレビューする。
依頼をいただいたレビュー記事はこちら。
※本記事は販売元からFonePaw SDカード復元の優勝ライセンスをご提供いただいている。
PCを使っていて遭遇すること、あるあるの1つが重要なファイルを誤って消してしまった、というものだろう。
WindowsでもMacでも今のOSはごみ箱を用意しており、普通の削除ならごみ箱を漁ることで戻すことができる。
しかし完全に削除してしまうとお手上げだ。
Windowsならごみ箱でメニューから「ごみ箱を空にする」を選ぶか、ファイルの削除時にShiftキーを押しながらDELキーを押すことでごみ箱を経由せずに完全に削除される。
消したファイルが宿題のレポートだったり、二度と撮影できない写真だったら泣くに泣けない。
しかし最近のニュースを聞いていると、ファイルを削除した容疑者のPCを警察が復元して、復元したファイルの情報から逮捕につながったという話を頻繁に聞くようになった。
警察だけが持つ特殊なツールのように思えるが、実はそうではない。誰でも購入できるツールで復元が可能だ。
この辺りの仕組みはかなり以前のOSの仕様から変わっていないようだ。
OSはファイルの管理ブロックとファイルの内容そのものを格納する2つのエリアに分けて、ファイルを管理する。
管理ブロックにはファイルの実体がストレージ上のどこにあるかという情報だけでなく、ファイルの作成、更新日時、アクセス権限などいろいろ情報を持つ。いわゆるメタ情報だ。
Windowsなどではファイルを削除しろと指示が来ると、この管理情報をクリアして、ファイルがなかったことにしてしまう。あわせてファイルの実体が置かれていたエリアを空き状態であるとマークする。これが「ファイルを完全に削除した状態」だ。ファイルの残骸はまだ残っているが、これによりファイルの削除は素早く行えるのだ。
しかしすでに気づいていると思うが、空き状態と看板は立っているけどファイルの実体はまだそこに記録されたままだ。これをツールを使って復元する。
もしも完全に復元できないようにしたい、例えばストレージを捨てたい場合は、データセンターなどではHDDやSSDを物理的に壊すようなこともするが、簡易的にはストレージ全体を適当なデータ、例えば00で埋め尽くすようなことをする。通常のOSからでは難しいので、専用のツールで(あるいはLinucのコマンドで)実施する。これをやってしまうと管理情報もファイルの実体も消えるので復元は絶対無理。
前置きが長くなった。今回レビューするソフトウェアは、上述のように完全に消してしまった状態のファイルを復元するものだ。
このツールでも完全な復元は保証されないが、削除したばかりであれば復元できる可能性は高い。早めに行動すれば何とかなるかもしれない。
まずはソフトウェアを使う前に会社を紹介しよう。
WEBの情報を要約する。
今回初めて知った会社であるが全世界で800万ユーザがいるといわれると、日本はこれから進出するのだろうか。
同社が扱う製品にはiPhoneのデータ復元、PC画面録画、メディア変換などもある。興味がある人はどうぞ、
ではSDカード復元ツールを使ってみよう。まずはWEBからどういうことができるかを調べてみる。
WEBは製品の特長が書かれたシンプルな構成だ。
ダウンロードはここの「無料お試し」と書かれたボタンをクリックすることでできる。ただし、無料お試しは削除ファイルのスキャンのみでき、復元はできないことに注意。
FonePaw SDカード復元が対応できる状況は下記のもの。分類してみた。
最初のものはファイル単位、続く2つはストレージ丸ごとやパーティション単位で復元するというものだ。
最後のウィルスアタックは本当にできるのか、ウィルスの内容次第に思える。ウィルスが削除するというものなら最初のファイル削除と同じだが、暗号化して削除するようなことをするものなら復元は無理だろう。
対応できるストレージとOSは下図のとおり。Linuxには対応していないことに注意。
ではインストールしてみよう。先ほどのWEBページの青いボタンをクリックしてソフトウェアをダウンロードする。下のボタンからもダウンロード可能。(Windows向け)
1分も経たずでダウンロードできた。クリックしてインストールを開始する。
開いたウィンドウの「インストール」ボタンをクリックする。
1,2分も経たずインストールは完了。「今すぐスタート」ボタンをクリックするまでもなく、起動している。
今回試すPCは自作PC8代目のJisaku8。Ryzen 5700Xと32GBメモリ、CドライブはNVMeのSSDを搭載している。
スキャンする対象は後述するがEドライブのWD60EZAZを使う。OSとスキャン対象のドライブは分けているので、スキャン中も他の作業に支障はなかった。
起動したソフトウェアは下図のように表示される。
まずここで、どの種類のファイルをスキャンするか、どこのドライブでスキャンするかを選択する。一番下には、ごみ箱の復元、デスクトップにあるファイルだけの復元、対象フォルダを選択するというものも提示されている。
今回やって分かったが、巨大なHDDをすべてスキャンするには相当長くかかるので、復旧したいファイルの場所を絞り込めた方が早く終わるのでいいだろう。
選択が終わったら、右下のスキャンボタンをクリックする。今回はEドライブ全体のスキャンを指定した。
なお、EドライブはWD製の6TB SMRドライブ。最近SMRドライブは20TB前後の超大容量のものしか残っていないので、PC向けには一気に消えた感がある。
SMRは書き込み時間が非常に時間がかかるという短所がある。読み込みは通常のCMR方式と変わらないはずなので今回のスキャン結果に影響したとは思わないが、念のため書いておく。
スキャンはクイックスキャンとディープスキャンの2段階で行われる。クイックスキャンは数分もかからず終わり、あとは延々とディープスキャンだ。左上に進捗率が表示されている。
スキャン中も見つかったファイルは適宜表示されていく。例えば下図のように、左ペインで画像>>JPGをクリックするとその拡張子のファイルだけを右に表示してくれる。
ここで表示されているものはスキャンで見つかった12ファイルだ。画像が表示されてないので、ファイルの情報は見つけたが復元ができなかったと考えていいだろう。
左ペインをLost Pathというものにして、JPGをクリックした。Lost Path、つまり格納されていたフォルダ情報はわからないがファイルを見つけたという意味だろう。
おそらくフォルダ情報は書き込みによる更新や頻繁な削除で復元できないくらい消えてしまったのだろう。
この図では復元できた写真ファイルは写真が表示されている。懐かしい写真ばかりだ。おそらく編集中に不要になって削除したものと思う。
別の一団を見ると興味深いことがわかる。左上の赤枠に注目してほしい。
赤枠内を拡大した図が下図だ。さらに赤く囲った箇所が写真なのにグレーで塗りつぶされている。これはおそらく、ファイルとしては見つかったが、他のファイルの更新、削除で消えてしまっており、破損ファイルになっていることを表す。つまり元の写真ファイルは復元できないことを意味する。右隣の銅像の写真はそういう表示がないので、期待通りに復元できそうだ。
なおスキャン中は対象ドライブのアクセスは高負荷であり、メモリも消費しているようだ。システム構成によるだろうが、メモリは10GB程度消費しているようだ。
OSドライブを指定してスキャンするとその負荷によりほかの操作はできなくなると思った方が良いだろう。また、メモリ8GB搭載の機種ではスワップ頻発でかなり苦しそうだ。
今回は試していないのでわからないが、ノートPCでこのツールを使うにはできる限りスキャンする範囲を絞り込んで高負荷な時間を短くする方がいいだろう。
6TBのドライブのスキャンに11時間かかった。こんなにかかるとは思っていなかったので夜更かしになってしまった。ディープスキャンが終わったので復元してみよう。
まずは復元したいファイルを選んでチェックを入れる。入れたら右下のリカバリーボタンをクリックする。
ここでライセンスがないと復元できない旨表示される。今回はライセンスキーを提供いただいたので入力して進めた。
すると保存先を聞いてくるので指定する。保存先に指定したフォルダの下に何階層か作られる。
なお、前回のリカバリー時に指定した復元する場所は覚えてくれないので毎回指定が必要だ。ちょっと面倒。
リカバリー完了と表示されるので、閉じるボタンをクリックする。
エクスプローラが開かれるので見てみる。先ほどは復元先を「d:\tmp」に指定した。この下に「ファイルを復元しました xxxxxx」と日時情報を含むフォルダが作られる。
なお、複数回リカバリーをすると日時情報は異なるので、異なるフォルダがいくつもできるので注意。
このフォルダの下にLost Path \JPGというように先ほどのリカバリ画面に書かれていた階層が取り込まれて、その下に復元ファイルが置かれる。
わざわざ複数階層にしているのは、削除していることもあって同じファイル名が複数個作られる可能性があり、競合状態を回避したいのだろう。
先ほどのスキャンで見つかった、グレーがかった写真を復元した。グレーではなく、データがない=黒になっているようだ。ほかのファイルは普通に見ることができ、ファイル破損の有無はわからなかった。
JPEGファイルはファイルが破損していても上のように無理やり開いてくれるのだが、PDFのような文書や、MP4のような動画ファイルは開くことさえできない。
これらのファイルの復元は、時間が経つとかなり難しくなると思うので、早めにすべきだろう。
このツールを使ううえでの良かった点と改善が必要な点を書いておく。
仕方ないものもあるが、ここに書かれているものは受け入れてツールを使うことになる。
データ復元という話題は昔からあって、今までも数多くのツールが出ていたと思う。代表的なものはNortonのものだったかな、最近は全く聞かないが。
まずはこの手のツールを使わなければならない事態を回避するように対策をするべきだ。毎週、毎日バックアップを取るなどだ。
それでもバックアップを取り忘れてファイルを消してしまった、あるいは(最近はそういうことは少なくなったが)ドライブ故障でファイルが破損してしまった場合に、最後の頼みの綱としてFonePaw SDカード復元があることを覚えておくといいだろう。
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