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大きなニュースがやってきた。CentOSが終わってしまう。
IT業界に関するニュースのまとめはこちら。
CentOSとは、現在Linux業界で大きなシェアを持つRedHat社の提供する有償ディストリビューションである
Red Hat Enterprise Linux(RHEL)をOSSに再構築したもので、業界シェア1位のクローンと
いってもいいだろう。このため製品にはRHELを使うが開発中は経費削減のためCentOSを使う、
なんてことがざらにある。
無料ソフトのLinuxに有償があるの?なんでそんなものわざわざ買うの?
そう思う諸兄が多いかもしれないが、ソフトウェアを使っていくうえで一番費用が掛かるのが
見えないコストである運用と保守だ。運用は様々なツールにより簡易化されてきているが、
ソフトのバグあるいは機器故障などの際に出番が来る保守はなかかなモダン化されにくい。
人間が解析しないと原因がわからない。あるいは人間が判断して故障部品を交換する。
こういうことが今でも日常的に発生する。
OSSは一般的に無料で使える代わりに保証はない。バグがあって停止してもその原因を自分で
調査しなければならないし、世の中に修正パッチや新バージョンがでていなければ自分が直すことになる。
巨大化したソフトウェアの保守を開発者が継続して担当することは困難な時代だ。
だから有償になったとしてもOSSを保守してくれるビジネスが存在する。近年のOSSをサポートする会社の
多くは、無償版で人を呼びこみ、実際に使う段になったら保守のついている有償版を進めてくる。
そういうビジネスになったようだ。
個人が趣味で使う分には保守は不要だからCentOSを使うことはあってもRHELを使う個人はいないだろう。
こうしてRed Hat社も成長著しく、将来性を買われて近年はIBMに買収されてIBMの一部になった。
Red Hat系というとCentOS以外にCentOS StreamやFedoraがある。Fedoraは実験的な取り込みを多くするので
安定していないという印象だ。やはり社会のインフラとして仕事に使うには、CentOS一択という状況だ。
そんなRedHat社が支援してきたCentOSが突如終了になる。
出典:CentOS.org WEBページ
これによれば、CentOSの現行バージョン8は2021年末に終了する。(当初予定した2029年5月末の
サポート終了から大幅に短縮されている)詳細は不明だが、バージョン7までも同様に同時期に以後もCentOS Streamは継続するのでこっちを使ってくれという事だろう。
終了するのであろう。
しかし、CentOSがRHELのRebuild(再構築)であるのに対し、CentOS StreamはRHELの
最新バージョンをただ追うだけのものという違いがある。使いたいパッケージの提供に差がありそうだ。
CentOS Streamでは不満な場合はRHELを使ってほしいという事なのだろうか。
Linuxのコミュニティの反発は相当なものだったようだ。
不満を述べる投稿が多くあったようであり、CentOSの後継に名乗り出る新たなプロジェクトが
登場した。
Linuxは大きく分けてRedHat系とDebian系がある。両者を分けるのは例えばパッケージを
インストールするコマンドが前者がyum、後者はapt-getだ。こういうところから全く違う道を
歩んでいるとわかるが、なんとなくUNIXのBSD系とSYSTEM V系という2派閥があったことと
似ている気がする。歴史は繰り返すのか。
Red HatがCentOSのサポートをやめてビジネスに専念するという事と思うが、その代わりを譲り受けるのは
CentOS StreamでもRocky Linuxでもなく、Ubuntuだろう。Debian系のいまや代表であるUbuntuは数年前から
急激に勢力を増やした。5年間サポートするLTS版を出すなど、CentOSと同等のサポートを行い、
ユーザを増やしたのだろう。自分も本業で使ったことがあるが、先のapt-getのようなコマンドに注意する
以外は普通のLinuxでしかなかった。まあ、デスクトップを使うといろいろ差が見えてくるのかもしれないが。
20年ちょっと前に生まれたLinuxは一時期数多くのディストリビュータによる製品が乱立したが、
ここ数年はCentOS/RHEL一択という状況が続いていた。近年Ubuntuがそこに風穴を開けてきた。
ここで一気に主役が交代するのか。それはRed Hat社とコミュニティの関係次第というところだろうか。
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