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2Qの四半期決算が発表される季節になった。ゲーム業界のガリバーである任天堂も例外ではなく、7-9月の決算を先日発表した。
任天堂スイッチについてのまとめはこちら。
任天堂のWEBサイトに掲載されている。
売上高 6,242億円 -18.9%(前年同期比)
経常利益 2,362億円 -20.6%
日本のワクチン接種は諸外国を抜いて国民の7割が接種済みになっている。未接種は年齢、持病あるいは主義主張によるもので、ワクチンを打ちたいが順番が来ないという人はほぼいなくなった。このため日本でも10月の緊急事態宣言解除と新規陽性患者の急減により、一気にリベンジ消費が始まった。このため、巣ごもり需要は無くなってしまったようで、インドアの遊びであるゲーム機は売れ行きが落ちたのだろう。
10月に発売された新スイッチは抽選販売でやっているが、旧スイッチは店頭で普通に販売されている。需要の一巡もあるのだろう。
2022年期の連結売上高予想は変わっていない。年末のホリディシーズンに取り返すという事だろう。特に新スイッチの需要は一定数あると思う。子供の周辺ではスイッチが壊れて買い直しをするという話を聞く。買い替えの際に新スイッチに換えたいという需要はある程度ありそうだ。
また経常利益、純利益ともに増加している。経費の統制や原材料費の調整で頑張っているのではないだろうか。
最後に注目なのは、売上高は維持しているのにハードウェアは150万台も減らした、2,400万台に予想を下方修正したことだ。原因は半導体不足のようだ。
もともとゲーム機業界ではハードウェアでは儲けずソフトウェアで儲けるビジネスだ。このため、ハードウェアが減ってもロスの削減になったとしても儲けの減少になるとは限らない。
ソフトウェアが1,000万本上積みされており、こちらで儲ける仕組みなのだろう。
下方修正されたスイッチの販売予測についての説明がある。通常、主力製品が下方修正されたら、その企業の利益も減るので株価が下がる。だからこういうページで対策を述べたりするものだ。
このページによれば、昨年が売れ過ぎたのであって、今年は減ったとはいえ、一昨年よりも売れる予測という事だ。ビジネスが順調に伸びていると説明している。
この図を見ると典型的な上下パターンと読めるが、需要の多くは年度末ではなく年末に集中するという意味だろう。
そして累計出荷台数は9,000万台を超え、1億台を狙う。
今までの決算ではこの手の資料が出てこなかった。任天堂としても販売に躍起になっている証拠だろうか。
まずは年間のゲームをプレイするユーザ数。延べ人数ではなく、ニンテンドーアカウントのユーザで年1回以上ゲームを起動した人という定義だ。1回も起動しないのは、子供のために作成した親のアカウント、というような幽霊アカウントだろう。
これが7,900万ある。もちろん全世界と思うが、世界中でこれだけの人口がゲームをしているという事だ。
では具体的に年代はどうだろう。おそらく同じデータの分析結果がこの図だ。
意外にも20歳あたりが飛びぬけて多い。外出できない学生が遊んでいたのだろうか。
そして30歳ぐらいも多いのは家族で子供と一緒にゲームするという事だろうか。
中学生から高校生の年齢は、小学生と比べると少なくなっている。受験や学校の部活で忙しく、ゲームをする暇がないので遠ざかっているのかもしれない。
そして、家に1台から1人1台のフェーズに入ってきたようだ。ゲームによっては複数のスイッチがないと一緒にプレイできないし、兄弟がいればけんかになる。子供全員にスイッチを買う、ということが供給増加によって進んだのだろう。
9月時点でニンテンドーアカウントの数は2.5億以上、164か国で使われている。
Nintendo Switch Onlineの会員数は3,200万以上。最近は飽きてきたのでファミリー契約でなくてもいいのではと思っている。
ゲームの販売はどうだろうか。この半年の売り上げは下図の通り。
1年前はどうだっただろうか。どれも少なくなっているが、特に昨年(ただし1Q)は発売直後だったあつ森の数が大きく下がっている。
販売のテコ入れは、新しい魅力的なゲームの登場だろう。年末に向けたゲームタイトルが並んでいる。
特に先日のNintendo Directで発表された星のカービィやスプラトゥーン3を待つユーザは多そうだ。
Nintendo Directについては下記参照。
更にテコ入れのため、人気ゲームの派生版が登場している。あつ森の有料追加コンテンツ、ゼルダ、ポケモン、スマッシュブラザーズとどれも人気のゲームだ。好きなユーザは購入するだろう。
あつ森の追加コンテンツについては下記記事を参照。
他のソフトウェア会社が作るゲームも数多い。桃鉄、真・女神転生Vなど人気がありそうなゲームが並ぶ。
ゲーム機とゲームだけでは行き詰まりが見えてくるのだろうか、昨今は物販だけでなくいろいろなビジネスにも手を出している。IP戦略として進めているようだ。映画作成もそうだし、USJへのパーク出店もそうだ。
最後に、任天堂が語る今後の展望。
またその次世代機に向けて、スイッチで新しい付加価値のあるサービスを提供するという。先日のDirectであった、64とメガドライブのゲーム提供がその1つと思う。今後はPCエンジンのゲームも出てくるのだろうか。
年末商戦を終えた3Qの決算がどうなっているかで、任天堂の2022年期の状況が決まると思う。次回が楽しみだ。
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