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楽天グループが2023年3月期の2Q決算を発表した。その中でモバイル事業について触れているので紹介する。
楽天モバイルについてのまとめはこちら。
2Q決算を三木谷CEOが説明した資料はここで閲覧できる。
今回はこの資料を抜粋して書いている。
まず、楽天グループ全体の決算をまとめるとこのシートになる。
気になる楽天のユーザ数は3,700万を超え、2サービス以上を利用するユーザは74.7%に至ったとのこと。
先にモバイル以外の事業の概要を書いておこう。
カード、銀行、証券のフィンテック分野は上場を目指しているそうだ。楽天銀行はすでに申請済み、楽天証券はホールディング体制に変更して再度上場申請をする予定だ。
これらの上場による利益はモバイルによる赤字の穴埋めとされている。
まずは、基地局と人口カバー率。2023年中に4Gは6万局超に至り、2023年中に人口カバー率99%になるとのこと。
7月からキャリアメールサービスが始まっている。
一方で楽天が盛んに主張しているモバイルを入り口にして楽天のエコシステムにユーザを取り込む状況は、有効に進んでいるようだ。
契約前は全く楽天のサービスを使っていなかったユーザが、半年後に2.48、1年後に2.99個のサービスを平均的に使うようになったそうだ。想像するに、楽天モバイル+楽天市場+楽天カードだろう。この組み合わせならお得なSPUで高ポイント倍率で買い物ができる。
そして一番気になるユーザ数と解約。UN-LIMIT VIIの開始で月間データ消費が1GB未満のユーザも課金されるようになり、解約が相次いだ。
解約の8割はデータ使用量1GB未満のユーザであり、現存のユーザはドコモMVNOも含めて546万回線だ。2021年度の3Q決算では550万といっていたので、半年で4万回線減った勘定になる。
そして、モバイル事業の決算だ。
2022年度Q1の決算を底にして改善方向に向かいつつある。無料ユーザがいなくなることでARPUは上昇し、パートナ回線(au)から楽天回線への切り替えを進めているので、ローミング費用は削減できている。
2019年2月に開始し、2020年4月に1年間無料でサービスを開始した。
以後順調に契約数を増やし、基地局を増やして、2020年9月に5Gを開始。そして2021年1月には新たなメニューであるUNLIMIT VIが開始した。
そして2022年7月にとうとう無料ユーザの締め出しを行い、代わりに残るユーザへの楽天ポイント倍率アップなど、カスタマ戦略に変化が見えてきている。
楽天モバイルのすそ野を広げる、ユーザ数を増やす時期は終わり、これからは内部を改良してコストを下げ、使っているユーザのロイヤリティを上げていく戦略で行くのであろう。
ただ、無料ユーザ切り捨ての際に見えた三木谷CEOの発言から見える不信感を取り除けない限り、万年4位のMNO、という位置づけは変わりそうにない。携帯電話料金を下げることを目標にした政権が交代して1年。他のMNOはこれ以上の値下げには踏み込まないとすると、楽天のとるべき道はエコシステムを背景とした徹底した安値、しかないと思うのだが。その逆をやってしまった楽天モバイルの今後の成長があるかは疑問が残る。
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