スポンサーリンク
先日伝えたWindowsのデスクトップサービスであるWindows365が提供開始した。
PC、周辺機器に関するニュースのまとめはこちら。
前回の記事はこちら。
8月3日から提供開始している。
同日から日本でも提供が開始され、2ラインが提供されている。
中小規模の組織向けのサービス。中小規模というのは、専任のIS部門がない、という認識で良いのではないかな。
ラインアップは3つ。共通なのはオフィスアプリケーションがあり、最大300ユーザであること。また、ドメインなしでセットアップする。
今の時点では、BasicはメールとWEBしか使わないような用途、Standardはちょっとした業務アプリを使う場合、Premiumは例えばRPAで処理させるとか、高負荷になる処理をする物を想定。
価格は税抜きでそれぞれ、4,210円、5,570円、8,970円になる。
大企業向けのサービス。専任のIS部門により管理される想定だろう。エンドポイントマネージャで管理する。
こちらもラインアップは3つ。共通なのはオフィスアプリケーションがあり、ユーザ数上限はないこと。
基本的には仕様はBusinessと同じだが、IS部門の有無で使い分けるという事か。
価格はBusinessと同じ。税抜きでそれぞれ、4,210円、5,570円、8,970円になる。
ほか、カスタマイズにより、CPUを1つにするとか、8つにすることが可能。このあたりはクラウドっぽいな。
最安のプランが1vCPU、2GB RAM、64GBストレージで税抜き3,260円/月、
最高のプランが8vCPU、32GB RAM、512GBストレージで税抜き22,010円/月だ。
試用できるようになっているようだが、好評なためか上限数に達してしまっているようだ。
試してみたい人は折を見てアクセスしてみてほしい。
気になるのはコストだ。先ほどの最高のプラン、22,010円を契約すると1年間で30万円弱になる。
30万円といえば、かなりいいPCを買う事ができる。例として、Dellで見てみよう。
Windows365のプランではCPUのコア数は書かれていても、周波数までは書かれていない。
とりあえず現状の一番よさそうなCPUを搭載したノートPCを想定する。
下のNew Inspiron 15 Intel 【夏の限定・即納】プレミアム(Office H&B・ワイヤレスマウス付)は、
と、ストレージのみWindows365よりもよい。他、WiFi6とか15インチディスプレイを持つ。
このPCが割引価格で134,870円だ。(8/14時点)
OSもオフィスも入っているので、ほかに必要なものはない。但しWindowsはHomeエディションなので比較のためにはProにアップグレードが必要。
対して、Windows365 Bussinessで最高スペックを使う場合、画面を投影する端末が必要だ。
これはよほど古いPCでなければ使えるが、企業用途を考えて現状販売しているHPの最安のPCにする。ダイレクト価格で39,380円だ、CPUがCeleronであるとか、ストレージがHDDであることはこの際問題ではない。
このため、2パターンを比較する。価格は税込み。
Windows365+HPのPC | DellのPC | |
初期コスト | 39,380円 | 134,870円 |
1年間コスト | 290,532円(24,211x12) | 0円 |
合計 | 329,912円 | 134,870円 |
表のように、目で見えるコストは倍以上の開きで、PCを買ったほうがずいぶん安い。
それでもこのサービスが人気があるのは、企業が見えないコストを無視できないからだろう。
見えないコストとは、言い換えれば運用費だ。パッチの適用をしたか全員確認する、ポリシーを設定して利用禁止ソフトを設定する、という事は上記のハード調達だけではオンプレではできない。
そのためには専用のサーバを作ったり、ソフトを買わなければならない。なによりその作業をする人の給料、人件費が必要だ。
クラウドサービスが人気になった理由は、固定資産を経費支払いにできることと、運用の多くをサービス提供者に委託できるという点だ。
サーバハードウェアが壊れたとしても、ユーザはサーバの入れ替え作業の立ち合い、ミドルウェアのインストールし直し、といったことをする必要がない。
多くのクラウドサービスでは、バックアップもされている。
という事で、運用担当が文句を言わなければオンプレのままのほうがコストがかからないが、担当がいない、コストを無視できない、となるとWindows365のようなサービスが有効になる。
企業のIS担当者にとっては福音となるか、無用の長物となるか。それは1、2年で明らかになるだろう。
PR