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ZFSは先進のファイルシステムで、わが家のNASにも使用している。
そのZFSで動きがあったのでご紹介。
プログラミングに関するまとめはこちら。
ZFSはもともとはサンマイクロシステムズ(以降サンと省略)が作ったファイルシステムで、
PC用というよりはファイルサーバ向けに考えられたのであろう。
もともとサンはUFSというファイルシステムを採用していたが、次世代用に検討された。おそらく堅牢性と
ファイルの大容量化に対応できる点を考えたものだろう。ZFSでは1ファイルの最大の大きさは
16エクサバイト。1エクサバイト=1024テラバイトだ。
ZFSの特徴は、
という物がある。
サンが提供するSolarisシリーズには実装されてきて、いつのころからか、BSDにも移植された。
BSDはオープンソースであるFree BSDがあり、そこにも持ってきて、FreeNASやXigma NAS(旧NAS4Free)が
考案されて世の中に提供されてきた。
PC上のUnixもどきシステムはいまの主流はFree BSDではなくLinuxだ。ZFSは長らくLinuxでは
提供されなかった。しかし昨年にLinuxにもとうとう提供されるようになった。
この時はUbuntuだけであったが、最近動きがあった。
ZFSはオープンソースで作られたそうだが、そのライセンスはCDDL(Common Development and Distribution License)に基づく。
あまり聞かないライセンスだ。LinuxのGPLとは相いれない問題があって、
Linuxでの実装が長らくできなかったそうだ。Wikipediaによれば、
CDDLでライセンスされた配布物は、修正されたものに関してはCDDLを継承する必需性があるものの、組み合わせた拡大配布物に関しては、CDDLで元々配布していた部分がCDDLを満たしさえすれば、オープンソースかプロプライエタリかに関わらず、他のライセンスのファイルと組み合わせて配布することが可能である。これはプロプライエタリなコードを持つ企業が、フリーソフトである部分と、そうでない部分を明確に区別して配布する事ができるように考慮されていると考えることができるが、フリーソフトウェア財団は、このライセンスは GNU General Public License (GPL) とは非互換であるとしている。非互換は、MPLから継承したいくつかの複雑な条文に起因している。
なるほど。GPL側が非互換であると主張しているので、載せられなかったんだな。
また、Linuxカーネルの作成者であるLinus氏がZFSをカーネルにマージしないことを明言していることもある。
カーネルに統合されなければ、ユーザ空間で動作するので、性能面ではいまいちになる。
このように、ZFSは有益なファイルシステムと皆が思っているが、LinuxあるいはGPL側がライセンス問題と
カーネルへの統合拒否を盾にして渋っている状況のようだ。もったいない話ではあるが、根源的な問題なので
しかたないか。
サンのZFSを離れて、Open ZFSというものが立ち上がった。
以前はZFS on Linuxという名称で開発が進められていた。名前の通りZfSをLinuxで動かす
ためのプロジェクトだ。今回Open ZFSが2.0になって提供形態が若干変わっている。
対応するOSがLinux、Free BSDとなり、これらを提供するソースコードのリポジトリを統合したそうだ。
リポジトリとは、簡単に言えばソースコードのバージョンだ。従来はLinux用、Free BSD用を別のリポジトリに
していたが、これを一本化して、例えばコンパイル時に指定するオプションでLinux用、Free BSD用に
区別してバイナリを作成できるようにしたのだろう。
最近ではZFS on Linuxがメインの開発環境となって開発を継続しているようだ。
Linuxサポートにより利用者が格段に増える。そうなるとバグが発見され、修正される。
利用者が増えることで新たな機能の需要が生まれ、高機能になっていく。万が一ZFSでは提供できない機能を
もとめる需要が多ければ、ZFSにとって代わって新たなファイルシステムがオープンソースで作られるだろう。
こうして改善されるファイルシステムはサーバに入れられ、サーバの安定化に貢献する。
サーバはオンプレミスだけでなくクラウドも対象だ。いずれ社会を支えるサービスすべてに浸透していく。
社会を陰で支えるオープンソース。ZFSの改善に今後も注目していきたい。
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