IrvineのもっとPC自作日記
本ページはプロモーションが含まれています。
  
 

X68000 PERFECT CATALOGUE発売

 

スポンサーリンク

 
X68000 PERFECT CATALOGUE発売

X68000というと、もう30年前に発売されていたPCであって、
30代より下の諸兄は知らない人も多いと思う。
40代以上の懐かしいと思う方向けの記事。

黎明期の日本のPC事情

話しが長くなるので興味がある方だけ読んでください。

黎明期の日本のPC事情
1980年代は日本のPCが飛躍的に性能アップ、台数も増えた時期だ。
今と違って、日本の技術力が輝いていた時代で、USのアップル、IBM、Amigaなどの動きとは連動せず、
各社が独自の規格でPCを作って売っていた。
いちばん力があったのは日本電気(NEC)のPC-8001から始まるシリーズで、80年代後半には
PC-9801シリーズの独り勝ち状況になっていた。
ほかに勢力があったのは富士通のFMシリーズ、シャープのMZシリーズであった。ほかの電機メーカも
リリースしていた。東芝、日立、三菱、松下(今のパナソニック)、ソニー。名だたる日本の
電機メーカがそろって発売していた。

当初のPCの使い方は、今とは大きく異なり、ソフトウェアがあまりない時代だった。
例えばゲームをしたいとなると、自分がしたいゲームが売られているわけでもなく、雑誌を
探すと掲載されていたりする。それを自分で入力して、無事終わると遊べた。PCを持つ人は
ほぼ全員がBASICというプログラム言語を扱えたものだ。

当初はプログラムの保存にSSDはおろかHDDも高価すぎて用意できず、よくてフロッピーディスク。
80年代前半はそれさえも高価で、カセットテープに記録するようなことがふつうだった。
(その前の世代はパンチカードとかになるそうだが、PC用ではないのでここでは追求しない)

まあともかく、今の時代にスマホでほしいアプリを探してささっとインストールして使う、
なんてことが夢で見ることもないくらい、想像できないサバイバルな時代だった。

ソフトなければただの箱

ソフトなければただの箱
そんな最初の時代から、ユーザが増えていくにつれて、BASICを使えるわけでもなく、
ただゲームをしたいだけのユーザも増えていった。ちなみにまだ任天堂のファミコンが
出ていないころの話しだから家庭用ゲーム機はブロック崩しぐらいしかなかった。

そういうユーザからすると、仕方ないので雑誌から入力するとしても、面白そうな
ゲームがあるPCに人気が集まっていった。
当時のPCは各社規格がバラバラなので、持っているハードが違うし、I/Oのアクセス手段も違う。
富士通はCPUにインテル系ではなくモトローラ系を採用していたので、バイナリレベルでは
互換性がない。今のようにインテルCPU用のバイナリをM1用にコンパイルしてすいすい使える
なんて時代ではないので、誰かが移植してくれないと利用できない。
移植といっても当時はCコンパイラすらまともになかったので、ほとんどが自力でアセンブラで
機械語をコーディングしていた時代だ。移植にかかる労力は並大抵ではない。
(今ならその機種用のCコンパイラを用意すればほぼ問題は解決する)

そのようにユーザ層の変化があって、人気がない、つまりソフトが少ないPCは淘汰されていった。
徐々にNECのPC-8801シリーズに人気が集まり、他は富士通、シャープが残る程度で、
残る会社の独自規格のPCは徐々に撤退していった。

日本ではPCがゲーム用途の機器とみなされている時代に、USの方ではアップルやIBMがPCを
ビジネスに使うような提案をするようになった。ワープロ、表計算ソフトの登場だ。
これらをするためにはここまで話してきた8ビットCPUのPCでは非力であり、よりメモリを扱える
16ビットCPUに徐々に切り替わっていった。NECのPC-9801シリーズの登場だ。

PC98の時代

PC98の時代
NECのPC98シリーズは1982年にインテルの16ビットCPUを搭載するシリーズで、当時の主流だった
PC-8001,PC-8801がゲーム用途であるのに対し、下記の点でビジネス向けとして登場した。

  • 16ビットCPU採用による大容量メモリ搭載
  • 漢字を表示できる専用のVRAMを搭載

VRAMって?そう思う方も多いと思うので補足すると、当時のPCは処理能力がそんなにないので、
あるRAMに文字コードを書き込むとそこに対応する画面の位置に文字を表示できる仕組みを
備えていた。それがVideo RAM、VRAMだ。当時の8ビットCPUもアルファベットやカタカナは
この仕組みで表示していたが、漢字には対応していなかった。PC98では漢字を表示できるように
したので、ビジネス用途に使えるようになった。

登場したときは当然ソフトがないので、PC-8801シリーズのものを流用できることを考えられていた。
その後ワープロソフトの一太郎、表計算の花子やロータス1-2-3が登場し、企業における事務処理の
効率アップに貢献した。
それまでは手書きで書いていた書類をワープロで入力し印刷でき、電卓を一生懸命たたいていた
計算を表計算ソフトによりより高度な計算も一瞬でできるようになった。
これにより大企業から中小企業まで爆発的にPC-9801シリーズが売れていく。
1982年の登場から15年にわたって、日本のPCのほとんどはPC98シリーズだった。まさにガラパゴスだ。
この状況はDOS/Vの出現、そしてマイクロソフトのWindowsの躍進まで続いた。

PC98の時代に反旗を翻した存在

先ほど書いたようにソフトがないPCは徐々に撤退していった。
そんな中でもアーキテクチャを変えて再度参入する企業があった。富士通とシャープだ。
80年代後半はすでにNECの独占状態であったので、一部の例外を除けばこの2社くらいしか
独自規格で対抗する企業はなかった。

富士通はIBM互換機とアーキテクチャを合わせてFM-TOWNSという新しいPCを出してきた。
初めてCD-ROMを搭載し、ゲーム用途に寄せてきた。CPUはもちろんインテル製だ。

一方でシャープは以前のPCを作っていた事業部と異なるテレビなどAV製品を担当してきた事業部が
8ビットPCのX1を出していた。その後継としてモトローラのMPUである68000を搭載したPC、
X68000を発表した。1986年のことだ。PC98に飽き足らないユーザがこれらに飛びついた。

X68000でできたこと

過去形で書いているが、今でも現役で使っている人がいることをここに書いておく。こういう手のPCを
今は「レトロPC」と呼ぶようだ。

当時のPC98は出自がビジネス向けであったこともあり、ゲーム用に使うにはいまいちな仕様だった。
例えば色数は8ビットPCと同じ8色だけ、音楽を演奏する音源はビープ音(ピッという音)だけだった。
当時すでにファミコンなど出ていたが、それらと比べてもゲーム用PCでないのは明らかだった。
その用途に真っ向対抗したのがX68000で発表去れた時の衝撃は大きかった。主な仕様を書き出す。

  • 65,536色同時表示  16ビットカラー
  • ヤマハの音源LSI搭載 様々な楽器の音で演奏が可能。
  • ADPCM搭載  PCMよりデータ量が少なくて済む。デジタイズした音声データの再生が可能。

そして68000を搭載したことで、メモリ空間がPC98の64KBと異なり、16MBも確保できた。
16GBではない、16MBだ。当時の製品はそのうちの1MBだけメモリが搭載されたが、
それでも画期的な広さだった。

なによりもゲームをする者の心をつかんだのが、ゲーセンにあったグラディウスという
シューティングゲームがほぼ再現されたことであった。PC98にはできないし、当時のファミコンでも
できなかった。完全に一致しないまでも相応のハードウェアが実装されて、ゲーセンの
ゲームを再現できるくらいになったという瞬間だった。

モトローラの68000は初期のアップルのMacでも採用されており、IBM系のPCとは異なる雰囲気の
GUIとマウス操作を提供していた。これは別に68000だからというわけではないのだが、
なぜか68000系を実装すると聞くとMacを連想してとても高級なものに思えた記憶がある。
実際にMacのソフトの移植を考えていたのかもしれない。しかしそれが実現した話は聞いた記憶はない。

当初はゲーセンのゲームの再現ができるという高級PCとして売れていたが、徐々に違う用途にも
使われるようになった。16MBのメモリ空間を利用して大容量データを扱うことができたので、
PC98では実装しにくい分野のソフトが作られた。例えばCG制作マシン、ペイントソフト。
ツァイト製のZ’s Staffは一世を風靡した。8色しかないPC98用のペイントソフトでは考えられない
機能が実装された。

今の自作では縦型ケースが普通だ。横型を使う人は少ないだろう。当時のPCはPC98がそうだった
からと思うが横型が多かった。(もちろん自作なんて選択肢はなく、メーカ製のみだ)そんななかで
X68000は登場のインパクトが大きかった理由の一つが縦型と思う。マンハッタンシェープという、
今はもうないニューヨークに2つ立っていた世界貿易センターを連想するフォルムで、
組み立ては難しいが排熱などは優れているという触れ込みだった。他人と違うPCを持つ欲求を持つ
ユーザにはぴったりだった。

当時を紹介する本

今回のタイトルにある本が最近出版されたので、懐かしさで購入した。

X68000本

X68000本

[書籍とのゆうメール同梱不可]/X68000パーフェクトカタログ[本/雑誌] (G-MOOK) / 前田尋之/監修

内容は前半ちょっとがハードウェアの紹介で、後半の大半は販売されたソフトの紹介だ。

X68000本

X68000本

ソフトには自分が購入したゲームがいくつも含まれている。すでに手元にないので懐かしさだけだ。

プラモデルで作る箱

外見だけならプラモデルが発売されている。ラズパイケースに使えるものだ。

X68000箱

X68000箱

X68000箱

X68000箱

往年の名機である68000。今でも電源を抜いたままで保管している。
世間ではコンデンサをすべてはんだ付けし直したりでオーバホールして使っている人もいるそうだ。
修理マニュアルも出ているそうだ。登場から35年近くたったX68000は今でも人々を魅了している。

「夢を超えた」 挑戦的なフレーズに魅了された一時期。
今はPCが安くなった代わりに、個々のPCの差別化は難しくなった。つまらないPCが多くなった気がする。

正月休みあたりに本をじっくり読んでみたいと思っている。

PR

   
著者プロフィール
irvine
 ソフトウェア設計、ストレージ設計を経てクラウドにかかわる仕事をしている、東京郊外在住のエンジニア。
 仕事でUS,UK,SGなどの国とかかわる。
 自作PC、スマホ、タブレット、AV機器好き。ドラクエウォークはルーチンワーク。Linuxやストレージ、IT業界の動向は興味を持っている。
 新しい機器、サービスに興味あり。年数回のレビュー(自腹購入、ご依頼)と発表されて興味があるものの新製品机上レビューをやっている。
 2022年はJAPANNEXT様のアンバサダーを務めました。
 
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です