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HDDの故障率を紹介する海外事業者、BackBlaze社の恒例の記事の紹介。今回は2025年3Qの統計情報に基づく考察。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。
前回の記事はこちら。
四半期恒例のUSのBackBlaze社の公表データのご紹介。
元ストレージシステムのエンジニアの自分が以前の仕事での経験をもとに、同社のデータをみて勝手に考察する。Back Blazeが公表している記事はこちら。
今回は2025年3Q、つまり7~9月の統計になっている。


Back Blaze社 ドライブ故障率 2025年3Q 出典:Back Blaze社以下同じ
BackBlaze社はクラウドストレージなどのサービスを提供するUSの会社だ。同社は9月末時点で332,915台のHDD/SSDドライブを使っている。(注:原文は6月30日になっているがおそらく9月30日の誤り) このうち、OSブート用3,970台と統計的有意さのないHDDを除いて、データ用ドライブは 328,348台だった。前回からおよそ1万台増えている。これらについて故障状況など統計をとったものが本レポートだ。
まずはサマリ。


Back Blaze社 ドライブ故障率 2025年3Q
前回よりもHDD3社の割合が均衡してきたように思える。WDとHGSTを一帯を考えると、Seagateが若干多く、WDが若干少ない。
3QのAFR(年間故障率)は1.55%と昨年よりも下げているが、2Qより上げた。
3Qの故障数がわかる表はこちら。


Back Blaze社 ドライブ故障率 2025年3Q
この表からわかるのは、AFRは2Qよりも上がったこと。2024年度のAFRが1.57%だったが、それとほぼ同じだ。
なお、以下の4台は故障0だった。
HGST HMS5C4040BLE640 4TB
Seagate ST8000NM000A 8TB
東芝 MG09ACA16TE 16TB
東芝 MG11ACA24TE 24TB (新規追加)
Seagate ST8000NM000Aは頻繁に故障0代を達成しているが、最後に故障したのは1年前の2024年3Qだった。


Back Blaze社 ドライブ故障率 2025年3Q
生涯故障率の考察では、27モデルが対象になった。AFRは1.31%だ。
4TBドライブは徐々に引退しており、しかし堅牢なドライブなのでAFRは高くない。
一方で20TB以上の大容量ドライブが増えている。2Qから7,936台増えている。合計で20TB以上のドライブは67,939台で、生涯故障率の表の402,675台のおよそ1/6だ。
SMARTはHDDに搭載された、統計データを取得するインタフェースだ。各社共通で定義されたものやベンダ独自のものがあるが、例えば代替セクタ数、起動回数といったものは共通だ。
代替セクタ数が多くなれば代替する予備セクタの残数がなくなるので、次の故障で代替するセクタがなく、不良セクタがそのまま残ることになりかねない。この数値を定期的に監視し、一定数を上回ったらドライブ交換をすべきだろう。
記事の中ではほかに有意な指標として、以下のものをあげている。
Current_Pending_Sector:エラーが発生し、再割り当てが不可とマークされたセクタ数


Back Blaze社 ドライブ故障率 2025年3Q
横軸が使用した月数、縦軸はAFRを示している。一般的に称する時間が長ければ故障しやすいと考えるが、そうであればこのグラフは右肩上がりのグラフになるはずだ。しかし100か月(8年)を超えるドライブについてもAFRが2%弱と十分低い。
しかしその中でも異常値をたたき出すドライブがある。AFRが異常に高いものだ。
Seagateの2台は5年以上使っているもので、元から故障率が高いものであった。
最後の東芝のものはこの3Qで以上にAFRが上がっている。


Back Blaze社 ドライブ故障率 2025年3Q
最近はWDの8TBドライブが1.5倍の価格になり、16TBとGB単価は差が少なくなった。今後もこの傾向は続いて、HDDベンダはより大容量のドライブを販売しようとしているのだろう。
SSDも最近は値上がりしているが、2TBで2万円ちょっと、4TBは5万円前後で買えるようになった。数年後にはさらに容量が増えて、現在のHDDの10TB以下のものを代替できるようになっていくだろう。
HDDは20TB,30TBを超えるものがデータセンターで使われる用途の生き残りそうだ。コンシューマー向けに30TBはまだ不要だ。10TBのSSDが出ればそれで十分だろう。
この数年はSSDとHDDが混在してどっちを選ぶか悩みそうだが、それを抜けたらコンシューマはSSD一択になりそうだ。
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