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【故障率調査】安定した高性能HDDを求める旅2024年Q1

 

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【故障率調査】安定した高性能HDDを求める旅2024年Q1
   

HDDの故障率を紹介する海外事業者の恒例のBackBlaze社の記事の紹介。今回は2024年Q1の統計情報に基づく考察。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。

  
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2024年Q1の情報

前回の記事はこちら。

恒例のUSのBackBlaze社の公表データのご紹介。以前の仕事での経験をもとに、同社のデータをみて勝手に考察する。

今回は2024年第1四半期、つまり1月から3月の統計になっている。。

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1 出典:Back Blaze 以下同じ

レポートの概要

BackBlaze社はクラウドストレージなどのサービスを提供するUSの会社だ。同社は3月末時点で283,851 台のドライブを使っている。このうち、OSブート用3,307台と統計的有意さのないHDDが972台を除いて、データ用ドライブは 279,572 台だった。3か月で9,000台ほど増えている。 これらについて故障状況など統計をとったものが本レポートだ。

Q1の故障率

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

メーカ指定の温度仕様から外れたドライブ275台を除いている。残る279,297台から100台以上が稼働し、ドライブ日が10,000を超えているものを抽出して、29モデル、278,656について統計情報を集めている。

この表からわかるのは、AFR、年間故障率は1.41%で、前年同期の1.54%から下がっている。下がった原因は以前は台数が多く故障も多かった4TBモデルが引退して交換されているためのようだ。
特に下記3モデルは故障が0件で優秀といえる。が、6TBモデル以外の2つはドライブ台数が少なくまだ稼働時間は短い。6TBモデルはかなり古い部類のものだが、安定した時期に入っているのだろうか。今後は老朽化による故障率の上昇が予想される。

  • Seagate 16TB (ST16000NM002J)
  • Seagate 8TB (ST8000NM000A)
  • Seagate 6TB (ST6000DX000)

ちなみにBack Blaze社はSeagateドライブが好きなようだ。

統計的に有意でないドライブたちの状況

上の表では100台以上が稼働し、ドライブ日が10,000を超えているものを抽出した。それに漏れたものはこちらの表にある、27モデル、641台だ。

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

AFRが2.47%と高くなっているが、統計的に有意な情報ではないことに注意。これらは今後主力になるドライブで、古いものを置き換えていくことになる。従い、バスタブ曲線でいうと最初の下降の時期のため故障が多いのかもしれない。

ドライブ障害の平均経過時間

2023年Q1の際の調査ではドライブ障害が発生するまでの平均経過時間は1,051日、つまり2年10か月だった。稼働初めて3年弱で故障するということだ。24時間ずっと動いているものなので、部品のどれかが故障すれば全体が故障する。ドライブ自体には冗長機能はないので何か1つでも壊れたら(ヘッドでもモーターでも、入出力を制御するインタフェースでも)その時点でドライブは故障となる。
今回、17,155台のドライブについてさらに調査したところ、平均故障期間は2年6か月とわかった。
SMART情報を使ってさらに調査が行われた。2023年Q2~2024年Q1の1年で4,406台のドライブ故障があり、OS用ドライブなどを除いて上記ドライブに足し、合計21,388台について調査を行った。
2023年Q1時点と2024年Q1時点の故障ドライブについての平均経過時間は下表のようになる。1年前よりも4か月延びたように見える。

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

ただし2回しか調査していないため、これは統計としては有意ではない。
しかし容量別にみると、傾向が見えてくる。4TB,8TBモデルは明らかに故障台数が多い(使っている台数が多かったから)が、平均経過時間が伸びている。故障まで正常に使える時間が延びているのだ。
容量の大きなドライブは稼働開始からの年数が短いので、平均故障時間が延びるのはわかるが4TB,8TB のように数年経っているものが延びるのは、今の\も使われているドライブが故障してその際に平均故障時間が延びた、ということのようだ。
1TBのようにすでに利用をやめているドライブは故障することもないので平均故障時間は延びない。おそらく3TB以下はもう使っていない。

メーカ別の故障率

メーカ別でAFRを見ると、WDのみが上昇傾向にあるが他は下がっており、低いAFRに貢献しているようだ。

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

2023年Q3にAFRはピークを迎えているが、この後で4TBドライブが引退したためAFRが下がっている。残っている4TBドライブはシーゲートとHGSTだが近々引退するので、この2メーカのAFRはさらに下がる見込み。

生涯AFR

特に長く稼働しているドライブについて生涯AFRを調べる。
2024年Q1時点で、500 台以上、ドライブ日が 100,000 日を超えるものについて抽出している。26モデル、277,910 台が対象だ。

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

上表では信頼区間が0.5%を超える例外が3モデルある。10TB Seagate、14TB Seagate、14TB Toshiba が故障率が高い。

上表から容量別に故障が少ないドライブを抽出する。

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

Back Blaze社 ドライブ故障 2024年Q1

12TB

どのモデルも優秀。ただしHGSTはWDが買収後に異なるモデル番号を付けて販売しているので、同製品を見つけることは難しそう。

14TB

東芝のMG07ACA14TEY、シーゲートのST14000NM0138はAFRが良くない。ほかの3台は優秀。

16TB

どのモデルも優秀

まとめ

今回は故障までの時間についての考察があり、24時間使い続けると平均3年弱で故障するとわかった。ただし型番を見る限りはデスクトップ用ではなくニアラインやNAS用の高性能、耐久性のある物での話だ。個人用途で買う例えばWDのBlueラインはデスクトップ用なので、24時間運転を続ければ3年も持たない。1年前後ではないだろうか。

調査結果は興味深いのだが、だんだんエンタープライズよりの情報が多くなり、個人が買うようなドライブが出てこなくなった。それでも4TB,6TBのころはデスクトップモデルも多く使われていたので参考になったのだが。

個人用途で16TBもの大容量HDDを買うことがどのくらいの人であるだろうか。と考えると、このレポートは企業のIT担当には向いていても個人ユーザには役に立たない情報になってしまったかもしれない。

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著者プロフィール
irvine
 ソフトウェア設計、ストレージ設計を経てクラウドにかかわる仕事をしている、東京郊外在住のエンジニア。
 仕事でUS,UK,SGなどの国とかかわる。
 自作PC、スマホ、タブレット、AV機器好き。ドラクエウォークはルーチンワーク。Linuxやストレージ、IT業界の動向は興味を持っている。
 新しい機器、サービスに興味あり。年数回のレビュー(自腹購入、ご依頼)と発表されて興味があるものの新製品机上レビューをやっている。
 2022年はJAPANNEXT様のアンバサダーを務めました。
 
 

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