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総務省から2022年12月末時点の固定回線(電話、インタネット)と携帯電話(MNO、MVNO)についての各社のシェアや契約数動向などの情報がまとめられて発表された。
MVNO、MNOについてのニュースのまとめはこちら。
電波や郵便を管轄する役所は昔の郵政省、今の総務省だ。法律に基づき、所管する固定通信、無線通信の事業者を管理監督している。
その監督業務のうちに、日本における現在の通信事情をまとめるという仕事がある。
2022年12月末の固定通信、携帯電話のシェアや契約数動向がまとめられて発表された。興味深いデータである。
詳細は下記リンクから見ていただくとして、ここではそのデータを見て思ったことを書いていく。
まずは携帯電話の契約数の動向。携帯電話の契約数が人口を超えてもう結構立つ。鈍化したとはいえ今でも増えているようだ。
理由は単純で、人が使う契約ではなく、マシン、言い換えればIoTでリモートでデータを集めたり制御したりするために携帯電話モジュールが使われている。
1年前の2021年12月からは、合計で約1,200万契約の増加、携帯電話のみでは約600万契約の増加だ。
回線の種別を見ると、5Gの躍進がわかる。5Gは1年前に比べて約2,700万回線も増えている。一方で4G(LTE)は約1,300回線も減っている。また3G回線は約600回線減っている。
1年前と大差ない。シェアを見る限り、2018年からあまり変わった印象はない。
MVNOの契約数は2021年12月から約200万契約増えて、2,875万契約だ。
2021年春のMNOからの低価格プランの開始で一時はMVNOの存続の危機と思われた。増減で見ると2021年3月のMNOの増加に比べ、MVNOの増加の鈍化が著しい。
その後、2022年3月もMNOの大幅な増加がみられたが、これはMVNOをやめてMNOに契約する人だけでなく、子供向けに初めて携帯電話を購入する人が、安くなったことでMNOで契約することが多かったのだろう。またその頃は量販店でiPhone1円販売などがあったと記憶している。
そのあたりもMNOの増加に貢献したと思う。
その後MNOの増加は鈍化し、逆にMVNOが増えている。昨年はMVNOが端末の割引販売をすることをよく見た。MNOができなくなったことに対して、MVNOは金額は減ったものの割引販売を続ける業者はまだ多い。そういう施策の影響でMVNOが復調したのだろう。
2022年12月時点ではMNOとMVNOの増加数は大差ない状況だ。この3月はまたMNOが大幅に増えていると思う。
MVNO内でのシェアはどうなっているか。順位は大きく変わらず、IIJmioがずっと1位だ。
他には、NTTコミュニケーションが消えているが、これはOCNモバイルONEの運営事業者がNTTレゾナントに変ったためだ。
IIJmioのシェアは徐々に増えているものの、OCNモバイルONE、mineoは徐々に減らしている。またその他でくくられるMVNOが増えている。
IIJmioのシェア増加は安い端末販売が貢献しているだろう。他がシェアを減らしているのはそういうメリットが少ないからと思われる。
ひかり回線の契約にはいろいろ制約がある。既存の家屋に光ファイバを通すには穴をあける必要があり、賃貸では制度上難しい。自己所有でも工事は難しい。このため、最近は5Gホームルータなどで手軽に無線でブロードバンドを得る方法が出ている。
しかし最高10Gbpsのスピードで使えるのはやはり光ファイバしかない。このためFTTHの需要はまだまだあるのだが、契約数としては鈍化している。上記の例により、新規に家を建てる場合でないと、導入が難しいからだろう。
固定通信によるブロードバンドの事業者といえば、NTT東西、KDDI、ソフトバンク、電力系、それからnuroだろうか。
歴史的には、FTTHの前のブロードバンドはCATVだった。各家庭までケーブルを引いていたので容易に高速常時接続のサービスを開始できたからだ。しかしメタルで提供する場合が多いので、今となっては光ファイバのFTTHには速度では勝てない。
このため、内訳で見ればFTTHのほうが圧倒的に多いのだが、そこは都道府県で事情が異なっている。
FTTH契約の都道府県別のシェアはどうだろうか。ここでもNTT東西がシェアの過半数を占めているが、例外なのは愛知m、岐阜、三重、滋賀、兵庫、奈良、徳島だ。
都道府県で事情が異なるのは、地元に根付く企業が関係していると追われる。愛知、岐阜、三重はKDDI系が強いと書いたが、KDDIはもともとKDDとDDIとIDOが合併してできた会社だ。IDOとはと関東と東海地域のみで営業していた携帯電話会社で、IDOにはトヨタが出資していた。
このためトヨタの工場がや関係会社が多い地域ではKDDI系が強いのであろうと思われる。
固定電話全体は1年前から約100万回線減らしている。5,111万回線だ。携帯電話が普及している今、あえて固定回線を別に持とうという人が減ったのだろう。
音声通信の内訳の過半はIP電話に変っている。NTTはNGNを見据えて、加入電話を廃止し、すべてIP電話にすべく動いている。(ただしユーザサイドから見たら、加入電話はそのまま使えるようになっている。バックボーンがNGNになるという意味)このため2017年に比べると加入電話は12%も減っており、そのままIP電話の増分になっている。おそらくADSL契約していた回線をFTTHに変えて、ひかり電話にした、というケースが多いのだろう。
1年前からは大きくは変わっていないが、2017年から見るとNTT東西のシェアは減り、代わりにKDDI、ソフトバンクが増やしている。
FTTHをフレッツ以外にすると違約代金をもらえたり、1,2年分の月額料金が安くなるなどで契約数を増やしている。また携帯電話とセットで安くする施策もあるので、NTTから離れていくケースがあるのだろう。
加入電話はNTTしかないのだが、IP電話はどこの事業者でも提供できる。シェアはどうだろう。
一方で050で始まる番号のIP電話は、趣が異なる。こちらはブロードバンドの事業者が提供するオプションで契約すると思われるので、番号がどうせ変わるのだからと、頻繁に事業者を変えて番号も変える場合もありそうだ。
2022年の国内の電気通信事業の様子が分かった。まだまだ伸びそうな携帯電話に対して、建物や契約で固定通信は光ファイバへの変更が進まない。固定電話も含めて固定通信は新築なら設定するが既存の家屋には難しいので、今後は5Gホームルータなどの活躍が増えるかもしれない。
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