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HDDの故障率を紹介する海外事業者が、SSDについても調査結果を報告している。
高速ストレージデバイスであるSSDについてのまとめはこちら。
HDDの故障率調査で恒例のUSのBackBlaze社がSSDについての調査結果を公表した。以前の仕事での経験をもとに、同社のデータをみて勝手に考察する。
BackBlaze社は今後年2回のSSDについての報告をしていくそうだ。HDDは年4回を続けるそうだ。
3社にまで絞り込まれたHDDと異なり、NANDチップ製造は数社あり、それを買って組み立てるSSDメーカは多数ある。
SSDはNANDチップの性能はもちろん大きいが、コントローラの性能によって大きく変わってくる。
NANDチップはSLC,MLC,QLCなど密度によって性能と耐久性が異なる。また、コントローラの方はソフトウェアの作り方もあるし、キャッシュメモリをどのくらい積むかも性能に影響ある。
コンシューマ向け、エンタープライズ向けの製品でも製品は異なるので、HDDよりも製品が多いため、なかなか良い製品の選定が難しい。性能はもちろん故障率もだ。
自分の場合、だいたいいつも同じメーカを選定しているが、もっといいメーカがあれば次の自作PCでは試してみたい。そんな調査をしていく必要があるので、BackBlaze社のレポートは参考になる。
BackBlaze社はSSDを2018年Q4からストレージサーバのブート用に使っている。ブート用とは言え、Linuxならsyslogを書くことが多い。ブートと言いつつ、読み書きもそれなりにある。
2021年末の時点で、2,200台のSSDを使っていた。SSDはCrucial、Dell、Micron、Seagateのものを使っているそうだ。
まずは2019年から3年分のAFR(年間故障率)の比較だ。
この表からわかるのは、2021年は故障率が上昇していることだ。
表を見るからはCrucialの CT250MX500SSD1、SeagateのZA2000CM10002の故障率が異常に高いことによる影響だろう。
これらはドライブデイ(=ドライブ台数×稼働日数の累計)が少ない。少量で稼働日数が短いのだろうから、おそらく初期不良なのだろう。
次が2021年に限った表だ。こちらには実際のドライブ数も書かれている。
先ほどAFRが高かったCrucialとSeagateの製品はどちらも使用している台数が少ないことがわかる。
一方で同じく台数が少ないSeagateのZA500CM10002は、故障したドライブがないのでAFRは0なのだ。1台でも故障すればこれも大きなAFRになったと思う。
母数が少ないものは統計的に採用が難しい。これらについては調査結果から外す必要がある。
四半期ごとの故障率と累計の故障率を表示したグラフだ。上下しているのは製品の入れ替えが頻繁であり、技術革新が速いため、技術が枯れる前に次の技術がでて再び故障率が上がる、と繰り返しているのではと思う。
累計ではなだらかに平均化されると思うが、2%以下になっているという。
HDDは年次で1%程度になっているので、比較するかぎりSSDはまだデータ数が少ないため「わからない」というところが正解だろうか。
Seagate製SSD3機種について比較している。SeagateのNANDはどこのものを使っているのだっけ?
2021年はどれもAFRが1%を下回っている。
また3機種のうち2つは古典的なバスタブ曲線に従っていないという。
バスタブ曲線は品質管理の中で言われるもので、初期の故障率は初期不良のため高いが徐々に低く成り安定する。数年たって経年劣化により徐々に上がっていくというもの、浴槽に似た形からこういわれる。
SSDはHDDのように動力、機械系の部品はない。このため経年劣化で壊れる様な物は基本的にないが、NANDチップは書き換え回数の上限があるので、どこかで製品寿命になると思う。
製品寿命はそうだが、初期不良の時期がないまま徐々に故障率が上がっていくようだ。それゆえバスタブ曲線に従っていない。
最近の製品では初期不良は出にくくなったのだろうか。全量検査すればそれは当てはまるかもしれないが。
以上のように最初のレポートなのでデータ数が少ないためにAFRが大きいなど異常値を示している。
今後2,3年経ったら有意な値に平均化されていくモノと思う。
それまではSSDは評判と自分の直感で選ぶしかないかな。
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