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HDDってどのくらいの年数使えるの? Backblaze社の調査結果に基づく考察

 

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HDDってどのくらいの年数使えるの? Backblaze社の調査結果に基づく考察
 

HDDの故障率を紹介する海外事業者の調査結果をご紹介。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。

このストレージの記事もチェック!
  

Backblaze社の調査

Backblaze社は四半期ごとにHDDの故障率調査を発表している、USのクラウドストレージ事業者だ。
最新の故障率に関する紹介は下記。

今回は、長年のテーマであるHDDの故障率、つまりHDDは何年使えるのかを発表している。
オリジナルの記事はこちら。

HDDの寿命

自分の経験から考えると、Windows XPの頃はHDDの集積度がそれほど高くなく、つまり垂直磁化などの技術が適用される前なので、HDDが故障すると言ったらモーター故障あるいはヘッドが磁性体に当たったことによる剥離など、そういう物理的な問題が多かった。記録する密度はスカスカなので、記録する際に誤るという事は少なかったと思う。
それゆえ、不要になったHDDは外付けドライブに転用したりして長持ちしていた。
時を経て、最近の場合は、HDDが異音を放つようなことは少なくなった。代わりにSMARTを見る限り使い続けられないと判断することが先行し、HDDの物理的な寿命の前に交換することが多くなった。
高密度になったため、物理的な破壊が発生すると数GB、場合によっては数TBが吹っ飛ぶ。そんな状況は個人であっても許容されないので、その前にHDDを交換、破棄することが多くなった。

Backblaze社でも物理的なHDDの故障に至る前に、SMARTあるいは何らかの検出手段で発見したエラーを見つけた時点でHDDを交換していると思うので、おそらくこの調査は新品のHDDをサーバに組み込み、お客様のデータを書きこんだ時から、1つあるいは2つ以上の同社の基準に従って故障と判断する時点までの時間を調べているのであろうと考えている。

使用するHDDのベンダ

まず、Backblaze社が使用するHDDがどのベンダから購入したものかの割合だ。

HDDライフサイクル

HDDライフサイクル 出典;BACKBLAZE WEBページ 以下同じ

ご存知のように、HDDのシェアは現在では3社で分割されている。WD、シーゲート、東芝だ。
上手では4社あるが、HGSTは現在はWDの傘下にある。ブランドは別ではあるが、実質はWDの内数といっていいだろう。このため3社で寡占している状況だ。
世間のシェアとは関係なく、BACK BLAZE社はシーゲート製を多く使っているようだ。
使うマザーボードなどPCの構成や、HDDを読み書きする負荷の内容次第で故障率は変わると思う。
BACK BLAZE社のようなクラウドストレージ事業者は様々なユーザがいるので、平均的な負荷と考えてよいだろう。
となると、壊れ方がシーゲートの特性によって多いあるいは少なくなっていると思われるので、今回の結果をそのままどの場合も適用できるとは思わないほうが良い。あくまでもBACK BLAZE社の場合の調査結果だ。

バスタブ曲線

バスタブとは日本では風呂桶という。お風呂の中で湯をためる容器のことだ。
信頼性工学のなかで良く語られることだが、故障率は製品のライフサイクルに対してバスタブのように初期は高く、徐々に下落していく。ライフサイクルの長い期間は、故障率は低いまま遷移し、製品寿命として定義されている期間のちょっと前から故障率は再び上昇する。下図の青グラフがそれだ。

HDDライフサイクル

HDDライフサイクル

バスタブ曲線は経験則からきているので、明確な理由はないと思うが、しいて言えば、

  • 初期は初期不良により故障率が高いがある程度使われることで、初期状態を脱して安定的な時期になる。
  • 後年の故障率上昇は経年劣化によるものだ。

HDDも普通の製品なので、上記2つの点は当てはまる。まず部材のを新しいものに交換していれば、実際の仕様が始まって問題が見つかることがある。初期不良だ。

この期間が終わったら、最後は経年劣化だ。HDDはデジタルデータを格納するデバイスなのに、HDD自体はアナログな製品だ。磁性体は円盤に塗られており、円盤はモータで回っている。この円盤にヘッドが近づいて、磁性体の変化を読み書きしてビットを表現する。
SSDはNANDメモリという、HDDよりはデジタルなデバイスを使っている。HDDは昔ながらの、そうカセットテープで8ビットPCを使っていた頃とやっていることは本質的には変わらない。

HDDの製品寿命

下図はBackblaze社が2013年から調査した結果だ。HDDはおよそ2年で5%が故障し、6年経つと35%が故障している。
1/3が6年で交換されているという事だ。

HDDライフサイクル

HDDライフサイクル

図をみるとわかるように、5年までは比較的なだらかであるが、5年を境に急激に下がっている。
つまり何らかのアナログ部品が5年で劣化することが多いという事だろう。
それが磁性体なのか、モータなのか、サーボなのかは分からない。このあたりの情報はHDDベンダの極秘事項だ。

この結果からは、HDDの利用は1/3の確率で6年経つと故障しているという事になる。
RAID構成にしたり、別のストレージにバックアップしているのであれば、故障するまで使い続ければよいが、
貴重なデータをバックアップなしで使っているのであれば5年目あたりで交換を検討したほうがよさそうだ。

もちろん、その前に、消えて困るデータはバックアップを取ること。RAIDでもいいし、クラウドストレージを使うのもいい。HDDケースを1つ用意して、大容量HDDをいれてバックアップ先にするのもいい。

消えてしまうともう復活できない。コストとダメージを考えて、導入を検討すべきだ。

バックアップについてはこちらを参照。

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著者プロフィール
irvine
 ソフトウェア設計、ストレージ設計を経てクラウドにかかわる仕事をしている、東京郊外在住のエンジニア。
 仕事でUS,UK,SGなどの国とかかわる。
 自作PC、スマホ、タブレット、AV機器好き。ドラクエウォークはルーチンワーク。Linuxやストレージ、IT業界の動向は興味を持っている。
 新しい機器、サービスに興味あり。年数回のレビュー(自腹購入、ご依頼)と発表されて興味があるものの新製品机上レビューをやっている。
 2022年はJAPANNEXT様のアンバサダーを務めました。
 
 

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