スポンサーリンク
IT業界では、システムを構築する際にOSの選定はちょっと悩むところ。
OSの第一人者だったCentOSがサポート終了になって後継問題が発生した。2年半経った現状を振り返る。
CentOS後継問題のまとめはこちらから。
半年前の前回の記事はこちら。
RedHat Enterprise Linux(RHEL)を提供するRedHat社が2020年12月に突如発表した。当時提供していたCentOS8のサポート期間を変更し、CentOS8は2021年12月に短縮された。
それまでのCentOS8は終了し、CentOS Streamは継続する。しかしCentOS StreamはFedoraのようにRHELよりも先行したパッケージ取り込みを行うディストリビューションなので、RHELクローンである安定感のあるCentOSの立場と異なる。
世界中のITエンジニアが困惑する中で、2つのプロジェクトが始まった。CentOSの後継として今や着々とシェアを伸ばすAlma LinuxとRocky Linuxの状況を書く。
CentOSの後継を自任するディストリビューションの代表は2つ。Alma LinuxとRocky Linuxだ。
Alma LinuxはCLOUD LINUXが支援する。CLOUD LINUXは独自にCentOS8の延長サポートを提供している。
Alma Linuxの特徴は、ベータ版も正式版も提供開始時にブログに書いてくれているので見つけやすい。
実際に最近の8.10、9.4のリリースではベータ版開始時も記事を書いている。
そして、いろいろなパートナーがいることで、CentOSの代わりを探す話になった時に、最初に名前が上がるという印象だ。
初期のころにインストールしてパッケージ差分を調べた記事はこちら。
ただ、昨年夏のRedHatによるクローンOS締め出しの対策により、Alma Linuxはソースコードの入手ができなくなった。このため、8.9/9.3以降はRHELとソースコードレベルでの互換性はない。アプリケーションレベルでの互換性維持を目指している。
このため、良かれと思ってバグを解決するコードをAlma Linuxが盛り込んでも、RedHatはそれをまだ実施してない、という意味でのソースコード不一致の可能性がある。RedHatの方針変更によるいざこざについての結論は下記記事を参照。
対するRocky LinuxはAlma Linuxが企業のサポートをベースにしているのに対して、コミュニティの力だけで成立しているイメージだ。
もちろんRocky Linuxもいろいろなパートナがいて徐々にシェアを伸ばしているようだ。
Alma Linuxと異なって、ベータ版の提供開始は公開していないのかブログを見てもわからない。1万人といわれているコミュニティ内でのみベータ版を提供しているのかもしれない。
そしてコアなメンバが集まっているのか、本家RHELもAlma Linuxも見つけてなかったバグを見つけ、RHELに報告している。(詳細は9.2の記事を参照)
Alma Linuxのような派手さが見えないが、地道に着実に進めているように思える。
8.10、9.4のGA時の記事はこちら。
初期のころにインストールした記事はこちら。
また、Rocky LinuxはSUSE、Oracle Linuxと組んで、RHELに代わる業界標準のEnterprise Linuxを推進するOpen ELAを結成した。
ソースコードは公表されているようだがパッケージの公表はされてないようだ。いまいち活動が見えない。
CentOS7のサポート期限は2024年6月末だ。いよいよ7も8もサポート切れになり、世間がサポート切れOSで動くシステムだらけになる。
問題の発生を避けるには適切な時期にサポートが継続されているOSにバージョンアップしていく必要がある。
中には有償ではあるが、延長サポートを提供する会社もある。ただしこれは恒久策ではないので、あくまでもバージョンアップ完了までの延命だ。
CentOSからの移行はRHEL8ベースが妥当だろう。RHEL8のサポートは2029年5月末なのでまだ5年使える。またAlma LinuxはElevateを用意しており、簡易的にバージョンアップができる可能性がある。
Alma LinuxとRocky LinuxはどちらもRHELクローンなので本質的には同じものだ。Alma Linuxはソースコード非互換ながら問題はない。Rocky LinuxはOpen ELAで業界標準をうかがう。それぞれの道は徐々に分かれてきているようだ。
PR