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故障率の高いHDDはどれ? 安定した高性能HDDを求める旅2022年Q1

 

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故障率の高いHDDはどれ? 安定した高性能HDDを求める旅2022年Q1
 

HDDの故障率を紹介する海外事業者の恒例の記事の紹介。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。

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2022年Q1の情報

前回の記事はこちら。

恒例のUSのBackBlaze社の公表データのご紹介。以前の仕事での経験をもとに、同社のデータをみて勝手に考察する。

今回は2022年1Q(1-3月)の状況。

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1 出典:BackBlaze社 以下同じ

レポートの概要

※今回の原文はなぜかスターウォーズ風だが、その点は無視して書いていく。

BackBlaze社はクラウドストレージなどのサービスを提供するUSの会社だ。同社は3月末時点で211,732台のストレージ(HDD,SSD)を利用している。うち、3,860台のOSブートドライブと207,872台のデータドライブだ。

このレポートではデータ用の207,872台について書かれているが、テスト用途と60台に満たない種類のストレージ合計の394台は外されている。統計データとして扱うにはまっとうな手法だ。このため、207,478台がレポートの対象になっている。

HDDの故障率の傾向

2022年Q1もHDDの大容量化は進み、同社では最大で16TBモデルを使っている。シーゲート、東芝、WD製だ。この点は前回と同じだ。

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

今回のレポートで特筆すべきは、赤線をいれたモデルだ。

  • 6TB シーゲートドライブ (ST6000DX000)
  • 4TB 東芝ドライブ(MD04ABA400V)
    この2台は故障率が0%になっている。どちらも2015年あたりに設置した、6~7年使っているドライブだ。こんなに使っても故障したドライブがないという、非常に優秀な「当たり」のドライブだった。
  • 8TB HGSTドライブ(HUH728080ALE604)
    この3か月で故障率が24.31%と高い。実際のところ2か月くらいしか使っていない。今後どうなるかしばらく様子見だ。
  • 14TB シーゲートドライブ (ST14000NM0138)
    このドライブは以前から問題のあるもので、シーゲート、デルと協議している。何度もファームウェアを更新している。もう少し辛抱だ。

故障率と運用機関の対比

今回初めて、四象限の図が登場した。
縦軸は運用時間、横軸は故障率だ。

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

それぞれの象限の意味を書く。

  • I 引退
    ここにあるドライブは経年劣化なのか故障率が上がっている。引退し新しいドライブに交換すべきだ
  • II 勝者
    運用時間が長いわりに故障率が低い。今は問題ない。Iに移動したら交換することになる
  • III 挑戦者
    運用開始したばかりのドライブで、バスタブ曲線でいえば最初の下り坂にあるものだ。しばらく様子を見て、IIにいくか、IVに行くかを見極める必要がある
  • IV 問題児
    運用時間が短いのに故障率が多い。可能なら交換すべきだ。煩わしい運用から解放される。

この4象限を使って、2015年からのデータを使って表示すると奇妙な曲線を描くことができる。

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

始まりはIII象限とは限らず、IVの場合もあるようだ。これは初期不良が多いドライブといえる。
IVにあったドライブ3種類は、結局長い時間を経てIIに至っていることがわかる、
IVからIに至るドライブは途中で交換されてしまうだろうからデータがないのだろう。

ライフタイムで正規化した故障率

Q1とQ2の境である3月31日に故障した場合、Q1のレポートには影響あるが、Q2は微々たるものだ。
これを回避するため、ライフタイムで正規化した故障率を下図で示す。

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

BackBlaze HDD故障率 2022年Q1

全体では故障率は1.39%だ。2021年12月が1.4%、2021年3月が1.49%であったので下がってきている。
一方で十分なデータがないドライブは、故障率(AFR)が大きな数字になっている。 8TB HGST ドライブ(HUH728080ALE604) と16TB 東芝ドライブ(MG08ACA16TA)だ。そんな中でも下記ドライブは故障率が低い。

  • HGST: 12TB(HUH721212ALE600) AFR: 0.33%
  • シーゲート: 12TB(ST12000NM001G) AFR 0.63%
  • WD: 14TB(WUH721414ALE6L4) AFR: 0.33%
  • 東芝: 16TB(MG08ACA16TEY) AFR 0.70%

今後はどうなるの

今年あたりは20TBの普及期になり、それ以上の大容量ドライブがそろそろ登場してくると思っている。HAMRによる高記録密度のドライブが花盛りになるだろう。
といってもエンドユーザがこのようなドライブを使うにはまだまだ高価だ。最近はウクライナ危機や半導体不足、円安のために一時期やすくなりかけた6TB/8TBのドライブも値上がりしている。
こんな状況は長くは続かないし、その間に技術革新があって単価が下がっていくだろう。
来年は8TBドライブを1万円で買えるだろうか。そうなったらいよいよ10TBが手に届く範囲になってきそうだ。

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著者プロフィール
irvine
 ソフトウェア設計、ストレージ設計を経てクラウドにかかわる仕事をしている、東京郊外在住のエンジニア。
 仕事でUS,UK,SGなどの国とかかわる。
 自作PC、スマホ、タブレット、AV機器好き。ドラクエウォークはルーチンワーク。Linuxやストレージ、IT業界の動向は興味を持っている。
 新しい機器、サービスに興味あり。年数回のレビュー(自腹購入、ご依頼)と発表されて興味があるものの新製品机上レビューをやっている。
 2022年はJAPANNEXT様のアンバサダーを務めました。
 
 

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