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HDDの故障率を紹介する海外事業者の恒例のBackBlaze社の記事の紹介。今回は2024年Q2の統計情報に基づく考察。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。
前回の記事はこちら。
恒例のUSのBackBlaze社の公表データのご紹介。以前の仕事での経験をもとに、同社のデータをみて勝手に考察する。
今回は2024年第2四半期、つまり4月から6月の統計になっている。。
BackBlaze社はクラウドストレージなどのサービスを提供するUSの会社だ。同社は6月末時点で288,665 台のHDD/SSDドライブを使っている。このうち、OSブート用3,789台と統計的有意さのないHDDを除いて、データ用ドライブは 284,386 台だった。これらについて故障状況など統計をとったものが本レポートだ。
100台以上が稼働し、ドライブ日が10,000を超えてて、温度がメーカ仕様を守っているものを抽出して、29モデル、284,386台について統計情報を集めている。
この表からわかるのは、AFR、年間故障率は1.71%で、前回1Qの1.41%から上がっていることだ。しかし前年同期は2.28%であって下がっている。
特に下記2モデルは故障が0件で優秀といえる。ともにSeagateだ。どちらもドライブ数、ドライブ日が少ないので、今後どうなるか中止が必要だ。
今期はSeagate 6TBドライブが引退し、6TBはすべてなくなった。このドライブはAFRが0.86%と優秀だったそうだ。
他には、いつも優秀だったHGSTの12TBドライブ(HUH721212ALN604)7.17%のAFRになった。HGSTの製造方法が変わり、初期不良が増えたのだろうか。
生涯故障率を計算する対象は、500台以上のドライブ、ドライブ日が10万以上のものとしている。25グループに分類される。
特に14TBモデルはAFRが5.96%と高い。10TBモデルは新しい技術を実装した境界期のものだろうか。
次にドライブ日が100万を超えているドライブについて、平均使用期間が5年を超えるもの、5年以下のもので区別して、平均使用月数とAFRでグラフにしている。
まずは平均使用月期間が5年以下の14台。
4つのエリアは以下のようにあらわされる。左上ほど壊れにくく長期間使われている
I 長期間にわたってAFRが低いもの 良好なドライブ
II 長期間使っているがAFRが高い
III 短い期間使っているがAFRが高い 現状はなし
IV 短い期間であり、AFRが低い 現時点では良好だが、今後の動きを注視する必要がある。
平均使用期間が5年を超えるものは下図。
この図からは、5年を経過すると、どのドライブもエリアIかIIに収束するそうだ。
この図からわかるのは垂直方向に延びていくドライブと、IIに入っていく3台に分けられる。
垂直に進むものは経過時間とともに故障率が上がるという、理想的なもので、それ以外のものは移行対象になる。
スネークチャートは興味深い。
AFRと時間経過の相関は直感的にはありそうだが、実はそこに連動しないドライブがあり、それを見極めて早めに移行対象とすることがシステムの安定稼働につながる。
こういう情報が体系的にまとめられると、いろいろなシステムを運用する人が幸せになりそうだ。
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