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HDDの故障率を紹介する海外事業者の恒例の記事の紹介。今回は2023年の第2四半期の統計情報に基づく考察。
大容量ストレージデバイスであるHDDについてのまとめはこちら。
前回の記事はこちら。Q1を飛ばしてしまったようだ。
恒例のUSのBackBlaze社の公表データのご紹介。以前の仕事での経験をもとに、同社のデータをみて勝手に考察する。
今回は2023年第2四半期、つまり4-6月の状況。
BackBlaze社はクラウドストレージなどのサービスを提供するUSの会社だ。同社は6月末時点で245,757台のストレージ(HDD,SSD)を利用している。4,460台がOSブートドライブだ。それと241,297台のデータドライブだ。半年前に比べておよそ1万台増えている。
データ用の241,297台について書かれているが、テスト用途あるいは60台に満たない種類のストレージの357 台は外されている。このため、下表の240,940台がレポートの対象になっている。
まずは障害が全くなかったドライブを紹介。6種類あった。
東芝の16TBと4TB、WDの16TB、WD傘下のHGSTの12TB、シーゲートの16TBと8TBだ。下表で下線を引いている。
東芝の4TBを除くと8TB以上のドライブだ。12TB以上になるとそれまでと異なるテクノロジを使っているように見え、品質が安定化したと思われる。
一方で東芝の4TBはそれに該当しないと思われるが、Drive Days、つまりドライブ数×稼働日数が少ないのでたまたま、という気がする。ただこのドライブ、数は少ないが8年使っているそうなので、バスタブ曲線で見ると絶好調な期間だったのだろう。
上位の3種は統計的に優位なDrive Days=50,000を超えており、AFR、年間故障率でみても十分小さい。
ドライブサイズでグルーピングした表が下表。
2023年Q2では10TBのAFRが悪く12.3%であるが、生涯AFRで比べても10TBが悪い。
ただ平均の使用期間を見ると、6TBのほうが1.5倍くらい長い。約8年だ。長ければ故障率が高そうだが、そうでもないということは、やはり10TBあたりは技術のチェンジがあって故障が多かったということだろうか。
5年以上使っている古いドライブに絞り込むと、10TB以下ドライブになるそれ以上は5年経過していない。上図を見ると4TB,6TBは安定しており、しかし徐々に故障率は上がっている。一方で8TB,10TBは2022年Q4から急激に上がっている。これは耐用年数が短いということだろうか。
下の図のように、2023年Q1とQ2のAFRの比較をすると、8TB、10TBのみ上昇していると分かる。
8TBのうち下表の3ドライブが8TBドライブのAFRが上昇した主要因だ。この3つは避けたほうがよさそうだ。
2023年Q2の結果は6種類の無障害ドライブの出現と、8TB、10TBドライブの急激なAFR上昇だった。12TB以上はまだ十分な年数の使用実績がないので現時点では品質が良いと言い切れないが、現状見る限りは優秀だ。1年先、2年先に実績が積まれてもAFRが大差なければドライブベイの削減にもなるので12TB以上に移行したほうがいいだろう。
ただし家庭ではNASが12TB以上に対応しているか確認が必要だ。エンタープライズ用途ならIAサーバを買ってきてvSANにするなりエンタープライズ向けの対応しているNASを用意すればいいだろう。
購入する予算がなければクラウド、例えばawsのS3やGlacierを使う手もある。長い目で見たら安いとは限らないので注意が必要だが短期的にはクラウドは安くなる。
次回もBack Blaze社のレポートに期待。
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